たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
2000年代ロボットアニメの隠れた名作
今も思い出す2006年。昨年2005年にボンズのエウレカセブンが好評を受け、今はすっかり廃れたロボットアニメが多作だった時代。アダルトゲームでもロボットものが出てくるくらい、ロボットアニメブームがあったのだ。
その中でも最大のヒットを飛ばしたのは本作ゼーガペイン。。。ではなく、同じくサンライズの「コードギアス」であった。
ロボットアニメには珍しく女性層を取り込んだコードギアスは同じ時期に流行っていた「デスノート」の影響と、メインキャラクターデザインにclampを起用したこともあり、人気知名度も含めて未だに新作が作られるほどの人気コンテンツに成長した訳だが。。。。(ここからゼーガペインの話になる)
僕のような機動戦士ガンダム(1979)以来のロボットアニメ、SFファンからすると「コードギアス」はミーハー寄りのライト層をターゲットにした感じがしたためあまり乗れず、同じ時期に放送されたこの「ゼーガペイン」こそがSFアニメファンとして唸らされた作品だった。
本作品は第一話こそ単純な学園SFロボットアニメで、「退屈だなー」と思って眺めていたわけだが、それが豹変するのは「第6話」、当作品の世界観が確定し真実を知った途端に、士郎正宗的なサイバーパンクとロボット物の融合、量子力学やITの知識がないと理解できない専門用語が飛び交うハードSFとして一気に盛り上がりを見せた。
本作品は予算や作画のクオリティー、3DCGの技術に決して恵まれていたわけではないのだが、それを上回る脚本力と構成の素晴らしさに舌を巻いたのである。その結果、10年経った今でも本作を生涯のSFアニメとして押すSFファンは少なくなく、今回の映画化もその根強い人気が伺えるものだ。
前置きが長くなってしまったが、それだけ多くを語れるほど「ゼーガペイン」はロボットアニメとして稀有な存在なのだということをわかってほしい。
そして今回の映画版だが、正直「映画」としての完成度は低い。3DCGは10年前に比べて格段に滑らかになっているし、クオリティーは高いのだが。。。お話はテレビシリーズを見ていないと理解できないほどダイジェストだし、おまけに完全新作かと思いきや、ただの前章譚だったのも大いに落胆させられた。だからひとつの映画として本作品をオススメはできないし、正直、見た事のない若い人はテレビシリーズを観たほうが感動が深いだろう。
しかし、一つだけ言えることはこの作品が10年前に創られた内容だということだ。
その世界感や設定は10年後の2016年現在に観ると古いどころか、現在だからこそ理解できるモノになっている。そう。。。すぐれたSFは本当に先見の目があることを思い知らされるのだ。それだけは間違いないだろう。