101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
“黄金世代”夢の競演!?
メディアミックスの中核であるゲームアプリは未プレイ……
と言うより依然、配信されずw……ゲートの入りが悪いのでしょうかw
このアニメも当初は追い掛けてませんでしたが、
YouTubeにて宣伝担当のゴルシちゃんによる乱ペースな勧誘につかまりw
視聴に引きずり込まれました。
気が付けば、毎週、次回放送はまだか!?とイレ込む、楽しみな作品となっていました。
終盤に至っては、私も毎回、画面に向かって“念”を送ってウマ娘たちを応援してました。
各世代サラブレッドの擬人化オールスターである本コンテンツ。
アニメ化に当って、スタッフは敢えて20年も前の競走馬スペシャルウィークを主役に抜擢。
その同世代を、物語の主軸に据えて来ました。
この路線選択が当たりでした。
スペシャルウィーク、グラスワンダー、エルコンドルパサーの“三強”に、
セイウンスカイ、キングヘイローらが絡む牡馬陣が強力だったこの世代。
当時、一部でこの世代の世界最強馬は日本にいる!と賞されたそうですが、
それも強ち大袈裟ではないと思えるくらい層の厚い黄金世代でした。
さらにポイントはスペシャル、グラス、エルコンが
現実に三頭揃って出走したレースがなかったこと。
これはグラスの怪我。エルコンの長期海外遠征。
そして何より当時・パート2国のドケチな競馬統括組織だったJRAが、
外国産馬であるグラスやエルコンがダービー等クラシックに出走する道を閉ざしていたから。
“三強”が勝負付けし切れなかったことが、
本当の最強馬は?という議論に拍車をかけて、
この世代をますます特別な物にしているのです。
{netabare}ダービー→古馬王道を歩んだのはスペシャルウィークだし。
でも年度代表馬になったのはエルコンドルパサーだよね。JCでもスペシャルウィークに勝ったし。
いやエルコンが凱旋門賞で負けたモンジューを破ったのはスペシャルウィークでしょ。
けど結局スペシャルウィークはグランプリでグラスワンダーを負かせなかったよね。{/netabare}
“三強”のうち二頭までなら直接対決があって、
これがまた凄まじいレースだったことにより、
それらをネタにした談義は果てしなく続いていくのでありますw
よって競馬ファンとしてはスペちゃんにグラス、エルちゃんが
同じ画面に映っているだけで、ifの世界が広がるプレミア感がありました。
{netabare}“三強”揃いぶみとなった初回のリギル選抜模擬戦や最終回のWDT。
エルちゃんVSスペちゃんの日本ダービーには興奮させられました。{/netabare}
本作にはこの他にも並んで映っていると
競馬に関する思い出や伝説が蘇るカップリングが盛りだくさんでした。
例えばウオッカVSダイワスカーレットの喧嘩するほど仲が良いライバルコンビとか、
父・ステイゴールド×母の父として“最強のニックス”を形成したメジロマックイーンと
その産物たるゴールドシップのコント?とか、
マルゼンスキーと、朝日杯で“マルゼンスキーの再来”と実況されたグラスワンダーの新旧外国産怪物対談とか。
発見してニヤニヤできる競馬ネタが数多くある一方で、
生徒会室に掲げられたエクリプスにまつわる名言については本作で初めて知りました。
改めて競馬のドラマ性と奥深さを認識させられました。
そんな中、私が一番嬉しかったのは、第六話で
{netabare} 98年のG2レース・毎日王冠を再現してくれたこと。
スペVSグラスの有馬記念とか、あの時代にはG1の名勝負が数多くありますが、
私の中では先輩グランプリホース・サイレンススズカが
当時無敗だったエルコンドルパサー、グラスワンダー両怪物外国産馬の挑戦を受けた、
あの毎日王冠の印象が強烈。
逃げて差す。サイレンススズカの展開や相手に左右されない真の逃げ脚。
戦慄が蘇る至福の一時でした。{/netabare}
「ウマ娘」という奇抜な設定の中にも競馬愛が詰まった熱い作品でした♪
付記:本作放送中の4月。武豊騎手の夢を叶えた競走馬・スペシャルウィークが亡くなりました。
翌5月には世紀末覇王・テイエムオペラオーも逝きました。
最近、特に名馬の旅立ちが多い気がします……。
これも、ルドルフ以降の日本競馬の路線整備とレベル向上による
名馬の増加と多様化によるもの。
加えてサラブレッド三世代の活躍を俯瞰できるくらい
私も年を取ったということなのでしょうか……。
合掌……。