oxPGx85958 さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
佐倉綾音が得をした作品
原作は以前、最初の数話を読んで挫折した記憶あり。ネット上のレビューによると、アニメ化にあたって細かい修正とか追加をしているようだけど、大筋は踏襲しているようです。
現実の食べ物とか商品とか趣味へのこだわり語りを中心に据え、その趣味を持っている人たちを視聴者として誘い込み、あわよくば業界からもお金を引っ張ろうという乱立気味の企画の中では、しっかりと作られたアニメだと思います。ちゃんと取材をして、店やラーメンを絵として精度高く再現しています。
ただ、原作由来の問題として、全体的に趣味が浅い。また、アニメ化にあたっての問題として、美味しさがあんまり伝わってこない。どんなラーメンを食べても表現のパターンは単調です。
なお、ラーメンを啜る音をあれだけ大きく響かせるのは重大な決定だったと思いますが、ラーメンそのものが売りのアニメ作品で、果たしてあれが正解だったのか。私はただ気分が悪くなるだけでした。
本作で面白かったのは、小泉さんのクラスメイト、大澤悠の性格造型と佐倉綾音の演技。こういうキャラクターはアニメだけでなく他のメディアのフィクションでもあまり見かけないので、どうなっていくのかという興味で見続けたという面もあります。結果として、彼女の病的なところを感じさせながらもそれほどにはあからさまにしないという綱渡りが成功していたように思います。
他の方のレビューを見ると、このキャラクターのサイコパス的なところをうざいと感じて視聴を断念した人もいるようですが、私としてはそんな効果も含めて「佐倉綾音の一世一代の名演技」ないしは「はまり役」と評価したい。皮肉ではなく、彼女の語りがシリーズ全体をドライブしていた、ぐらいに言ってもいいように感じました。他のキャストがテンプレ演技をしている中で、佐倉綾音の演技には生身の暴力性があった。
最後に、細かい話ですが、北極ラーメンをあんな感じに高い姿勢で啜って食べることはまず不可能。ラーメンの作画はていねいでも、登場人物たちがラーメンを食べるシーンのいい加減さはけっこう致命的なんじゃないかと、第2話にして思いました。原作のマンガは静画であるため、そういう細部は省略できたかもしれないが、アニメ化にあたっては本腰を入れて取り組むべき要素だったのではないか、と。