「輪るピングドラム(TVアニメ動画)」

総合得点
83.4
感想・評価
2097
棚に入れた
10581
ランキング
326
★★★★☆ 3.8 (2097)
物語
3.8
作画
3.8
声優
3.6
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

ぜろろ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

俺たちは道なりに歩き続けてきた

かなり分かりにくい作品。よく言われているが村上春樹的な物も感じる(ちなみに私は村上春樹が苦手です……。)。ただ、私にとってはとても大切な物語の一つ。色んな人に勧められるのかといえば、答えに一瞬つまるけど、それでもたくさんの人に知ってもらいたい作品。


{netabare}テーマは運命、愛、罪と罰。象徴的、記号的に色々なことを伝えようとしています。


作中の登場人物は、その多くが両親に対してコンプレックスを抱えています。親がテロを起こした、才能を過剰に求められた、美しくあることを求められた……。親や社会からのプレッシャー、いい成績を、いい大学に、安定した仕事に……。そういった価値観を押し付けられて、氷のような寂しく厳しい世界でペンギンのようにどうにか生きている子供達。自分の意思ではなく、社会から、大人から、運命から、何者かになれと強要されている。でも、それではきっと何者にもなれない。自分が本当は何がしたくて、誰を愛したいのか、それすら忘れて透明な存在になってしまった、それが悲しい運命を背負った子供達。


その狂った運命を変えるものがピングドラム。私はこれを『他人の罪や罰を受け入れるほどの無償の愛』だと考えます。自分の愛を一方的に押し付ける、例えば愛だと言って自分の子供に夢を押し付けたり、傷つけたりするのはピングドラムではない。愛する人のためならその身を焦がしてもいい、燃やされてもいい、大切な人の運命ごと背負ってやるという人の想いこそ、愛こそがピングドラム。


ピングドラムには運命の列車、すなわち一度乗ってしまえば通常止まれない「運命」を変革する力があります。本来子供ブロイラーで透明にされる運命だった多蕗や陽毬を救ったのは桃果のそして昌馬のピングドラムだった。本来死ぬはずだった陽毬の運命を変えたのはの冠葉のピングドラム。最初のOPから燃える運命だったりんごを救ったのは昌馬のピングドラム。ピングドラムは人から人へと輸すことができる。そうすることで世界は愛に満ち、人々は救われる。、


ただ愛があれば、ピングドラムがあれば全て解決するのかいうと、そうではない。結局愛する人のためにこの身を燃やしても、最後はその人にすら忘れられてしまう、そういった運命の、世界の残酷さもきちんと描いているのが本作品。ただ運命というのは、もちろんそれ相応の対価を払うが、愛があれば変えられる、その希望も描いている。たった一言の愛しているという言葉が時に誰かを救うこともある{/netabare}


意外と知られていない本作品ですが、社会の圧に悩んでいる人には刺さるものがある名作だと思います。

投稿 : 2019/03/02
閲覧 : 543
サンキュー:

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