退会済のユーザー さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
最終話について
最終話で世界によって誠は殺害されるが、世界が、どの時点で、誠を殺す決断をしたのか。また、台所に立った世界が見たゴミ袋は、何を象徴していたのかについて、拙い所感を述べる。間違いもあるかもしれないが、ご容赦いただきたい。
妊娠についての話合いの際、誠の部屋の台所に立った世界が、ふと、脇に置かれた、口の開いたゴミ袋に目をやる。その中には、先日誠とクリスマスを祝うために作った手料理が、原型を留めない無残な姿で詰め込まれていた(あくまで、その手料理を台無しにしたのは、クリスマスパーティーに来なかった誠に逆上した世界自身であり、その台無しになった手料理を片付けたのは、誠である)。虚ろな目でゴミ袋を見つめる世界の描写の次に、リビングで世界を待っている誠のケータイにメールが来る描写が入る。
ここから先の顛末はみなさんご存知のことだろうから、割愛させていただく。
私が思うに、世界が誠を殺す決意を固めたのは、先に述べた例のゴミ袋を見たまさにその時だと思うのだ。無残な姿となった手料理の入ったゴミ袋は、ただのゴミ袋ではなく、修復不可能となった、誠と世界の関係を象徴していると思われる。その象徴的なゴミ袋こそが、世界の誠への殺意を呼び起こしたのかもしれない。
世界による誠殺害の動機を、私は以上のように解釈するが、さて、象徴的なゴミ袋と、それに伴う突発的な動機が、このアニメを「真実らしいもの」に成し得ている。
世界が妊娠の話合い以前に誠を殺す決意を固めて、誠の部屋に入った瞬間に誠を刺殺するという展開よりも、このあっけない殺され方のほうが、なんとなくしっくりくるのだ。
ところで、仮に、誠がゴミ袋を台所ではなく他の場所に置いて、世界がそのゴミ袋を見ることがなかったとしたら、世界は誠を殺さずに済んだのだろうか?
長々と書いたが、やはり色々考えさせられるアニメであるし、また、考えるに足る名作であると思う。
ゲーム版は未プレイなので、是非購入したい。