fuushin さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
牝馬、牝馬。 ニンジンはヒンナ、ヒンナ。
取りためておいた作品のうちの一つ。時々、時間のあったときに見ていましたが、レビュアーさんの評価がいいので通しで観てみました。
キャラ良し、歌良し、テーマ良しの3拍子の相性が抜群に良いと思いました。
"ウマ娘"というネーミングも、とても自然な響きで、すんなり耳に入ってきます。縮みのネームは流行りのパターンなのでしょうが(でもこれ以上は縮められませんね。)、とにかく耳あたりがいいです。これは成功していますね。ウマ・ムス・メ(生ま・産す・愛でしょうね。)
擬人化された作画は、競走馬の特徴をよく捉えているそうですが、私にはよくわかりません。
ハイセイコーの次がオグリキャップまで飛んでしまう人なので、本当にごめんなさい。
ただ、神話に由れば、神様が最後に創造された生き物は"女性"なんだそうです。ブービー賞が"男性"。
そして、人間以外で、すべての生き物の最終作品が実は"馬"なんですよ。
最後にっていうことがどういうことかと言うと、一番神様の姿に似せて作ったということです。真であり、美であり、善であるということのエッセンスを全部持ち合わせているんだそうです。それが女性。
男性も、よく頑張りましたが、シルバーメダルです。まあ、これは良しとしましょう。
さて、どうして馬が3番目なのかっていうことですが、馬の神さまをイメージしてください。半獣半人の神々です。
"ケンタウロス"。ハリーポッターに登場していましたね。そのトップが"ケイロス"という名を持つケンタウロスの半獣半人の神さまです。
ウマ娘のダービーにケンタウロス神が走り出したら壮観でしょう。でも作風が720度くらい変わってしまうのでレビューし直さないといけなくなりますね。幸いなことに本作は、ケンタウロスのイメージには全然そぐわない"プリティーガール"が出走してくれました。
耳と尻尾と、ニンジンとお腹。そして一人一人の逸話とディテールが上手に織り込まれてあったみたいで、知る人にぞ楽しめる造形だったようです。
私は、そういった世界は不案内なので、単純に、学園生活やチームワーク、レースにかける青春群像劇として楽しんで視聴しました。
はい、横道に逸れました。ごめんなさい。
では、もう一度。 "造形美"として見るとき、女性の神格化はどなたにも異存はないと思います。ミロのヴィーナス像、サモトラケのニケの女神像、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂にあるピエタ像など、いずれも息をのむ美しさです。
男性像は、ダビデ像、円盤投げ(ディスコボロス)男性像、ポセイドン神像が有名ですが、息をのむほどというとそれはどうかと・・・。
では、馬の造形はどうかと言いますと、ぜひネットでじっくりとご覧ください。
たなびく鬣(たてがみ)、嘶(いなな)く口元、跳ね上がる馬脚、弾ける躯体、張りあがった筋肉、そして燃え上がる眼光。
競走馬、道産子、ミニチュアホース(え?)
それぞれに備わっている真・美・善は、ある意味、筋骨隆々、優男、少年といった男性の魅力を軽く凌駕しているようにも思えます。
誤解を恐れずに言うなら、その全身像から醸し出されるオーラに"艶めかしさ"さえ感じます。まさに息がとまるほどの美しさに圧倒されるのです。
やはり、獣毛に覆われていない生き物のなかで、美しさや、気高さ、強靭さ、そして艶めかしさを全部備えているのは、馬しかいないでしょう。
神様は、馬を最後に創造の手をお休めになったのですが、地上の王たる生き物として融通無碍に知性を駆使し、火を扱うには少しだけ不足を感じられました。
やがて、世界をリードするにたる"男性"を作られました。そののちに世界を子々孫々にわたって地上の王たらしめんとするために、最後の真打として、産み育てる働きを賦与し創造されたのが"女性"だったのです。(と聞きました。)
女性をひとことで言えば、"妙"の働きです。
こうした経緯はありましたが、だからこそ人間は、どの動物よりも馬を愛してきました。ペットのような愛玩ではなく、家族同様に生活をし、苦楽を共にしてきたのです。
古くは農耕からはじまった関係ですが、馬車馬として経済を支えるまでの役割をこなし、現在はファンファーレとともにほかの動物にはまねのできない"興奮と夢"を人間に与えてくれています。
それを"ウマ娘"としてアニメの中で描き切った着眼点が、実にうまくできていましたし、なんというか、可愛らしい女性の姿に置き換えて、世界最高峰のレースに挑戦せんとする目標に向かわせ、スポ根以上に崇高な雰囲気すら表現するという清々しさがモニターいっぱいに溢れていて、なかなかどうして、侮れない良作だったと思いました。
まさに、春アニメのダークホース的な位置取りで最後まで駆け抜け、しっかり楽しませてくれる作品だったと思います。確かにファンファーレは高らかに響いていました。
長文のレビューを最後までお読みいただきありがとうございました。
本作が、皆に愛されますように。