シャベール大佐 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
勝負に負ける悔しさの描き方がとても上手な、美少女スポ根アニメ
実在の往年の名馬たちを擬人化して、その日常やレースを描く美少女スポ根アニメ。全13話。
視聴前の時点では、競馬という題材にはそれなりに興味や知識はあり、また制作がP.A.WORKSということもあって注目はしていましたが、スマホゲーム原作のアニメに対するイメージは必ずしも良いというわけでもなくて、期待と不安が半ばするような状態でした。それが実際に始まってみると、予想以上に面白くて、毎週楽しみに観ていました。ゲームが原作といっても、物語の流れ自体は、登場キャラのモデルとなった名馬たちの実際の競争成績を元にして作られているので、形式的には、史実を元にフィクションを加えた歴史物のドラマなどに近い部分もあるかもしれません。
作風的には、基本は明るく楽しい美少女アニメの雰囲気で、そこに意外なほど熱いスポ根要素が加わります。特に、主要キャラが勝負に負けてしまうときの描き方はとても上手で、悔しさが観ているこちら側にしっかりと伝わってきました。そういった挫折のドラマ的な面白さの土台には、主人公のスペシャルウィークや、その憧れの先輩・サイレンススズカといった主要キャラのモデルとなった競走馬自体が、勝利したレースだけでなく敗戦や故障なども含めてファンの記憶に残るタイプの名馬であったことも関係していて、あるいは素材選びの時点ですでに一定の面白さは約束されていたのかもしれません。
登場するキャラたちは、実際の馬の毛色や勝負服などをキャラデザに取り入れており、ライバルや血縁などの関係性の深い馬同士はアニメ内でも絡みが多かったりします。どのキャラも、元ネタを離れた単体のアニメキャラとしても十分に個性や魅力がありますが、ちょっとした小ネタなども散りばめられているので、競馬好きの人ならば、より一層楽しめそうです。個人的には、サイレンススズカ、グラスワンダーあたりがキャラデザもかわいくて好みでした。ギャグ担当のゴールドシップも楽しかったです。
作画は綺麗。キャラはかわいく描けていますし、レースの場面にもスピード感や迫力があって悪くなかったです。音楽は、最終回のED曲が良かったです。
最後まで観終わって、美少女アニメの楽しさと、スポ根アニメの熱さが、バランス良くブレンドされていたように思います。元ネタを知っていると、どのように描かれるのか本当にハラハラするような場面もありましたが、そのあたりも含めて全体的に満足できる作品でした。