おぬごん さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態：観終わった
トンデモ設定×親父趣味×王道展開！ 競馬を好きになれる名作
サイゲことCygamesが開発中のスマホゲームアプリが原作
……なのですが、放送中にしつこく挟まれたCMも虚しくアプリはまだ配信されていません
そもそもの企画の立ち上がりも2年前だったはずなんですけどね…
内容としては、実在の競走馬を擬人化した「ウマ娘」たちが、実際の競馬と同じように徒競走で競い合うスポ根モノ
……なのですが（天丼）、元ネタの馬の性別に関係なく全員美少女に擬人化されているのを始め、そのウマ娘には耳と尻尾が生えていて時速70km/hで走れてみんな人参が大好きだったり、挙げ句の果てにレース後には勝ち馬をセンターにアイドルさながらの「ウイニングライブ」を行なったりともう設定がかなりぶっ飛んでます！
擬人化には色んな作品で慣れていたので大丈夫でしたが、ウイニングライブは初見時かなりキツかったですね…
いや今でもいらないとは思ってるんですけどｗ
プロデューサーが『アイマス』の石原Pなので、そもそもCD発売やライブ開催も見据えての企画ということなんでしょう
ただこの作品、とんでも設定をぶっ飛ばすくらいに素晴らしい王道ストーリーでした
史実のレース内容を軸に、夢のif展開を織り交ぜたストーリーは、努力、友情、挫折に勝利が絡み合った少年漫画にも似た熱さがあり、素直に引き込まれました
とんでも設定で1話切りされないよう、初回を2話連続放送にしたのも大正解だったと思います
「トンデモ設定×親父趣味×王道展開」は恐らくガルパン、艦これ（アニメ除く）あたりを参考にしたのだと思いますが、見事にしてやられました
同期のライバルに恵まれ勝利と敗北を繰り返すスペシャルウィークを主人公に据えた判断も大正解でしたね
トレーナーの立ち位置、キャラクターも絶妙だったと思います
恋愛に発展せずあくまで指導者の立ち位置で、教え子への愛に溢れていて憎めないキャラ
最終回の{netabare}レースの光景がトレーナーの涙で滲む演出と、そこからのスピカメンバーの名前を叫ぶ展開{/netabare}には思わず泣いてしまいました
あと{netabare}「あちらのお客様からです」をやっといて奢らせる{/netabare}のもめちゃくちゃ笑いましたｗｗｗ
競馬ネタも有名なモノからめちゃくちゃ細かいところまでふんだんに仕込まれていて、ニコニコ動画で元ネタ解説動画（後述）を見るのも毎週楽しみでした
ゴルシの焼きそば、お好み焼きに元ネタがあったのには笑いましたｗｗｗ
ウマ娘の擬人化自体も、元ネタを知っていくとかなり面白かったですね
気性難でマイペースに持ち込む競馬が得意なセイウンスカイはマイペースなキャラだったり、ヒシアマゾンが仮面ライダーアマゾンのポーズを取ってたり（笑）
難点はディープインパクトやオルフェーヴルといった最近の名馬が登場しないことですかね
権利関係が難しいのは分かりますが、今のアニメ視聴世代にも馴染み深いであろう馬だけに残念でした
規格発表の段階ではラスボスっぽい（シャドバっぽい）ディープインパクトらしき馬や、不良っぽいオルフェーヴルらしき馬もいたみたいなんですけどね～
ただその分、「昔の馬について知って貰いたい」という作風にできたのはプラスに働いたとも思います
私は元々、馬券は買わないもののTVでスポーツとして楽しむ程度に競馬が好きだったのですが、この作品の放送中に色んな動画やWikipedia、ニコニコ大百科の記事なんかを見て、もっと競馬を好きになることができました
以下に私が追っていた動画のリンクを貼っておきますので、興味がある方はぜひ（長いので折り畳み）
{netabare}
・http://www.nicovideo.jp/mylist/61598867 ウマ娘各回の元ネタ解説。ネタ大盛り。
・http://www.nicovideo.jp/mylist/54722844 上の元ネタ動画の人が挙げてる競馬史解説。ネタ大盛り。
・http://www.nicovideo.jp/mylist/61549115 ウマ娘の元ネタになった名馬の解説。真面目。
・http://www.nicovideo.jp/watch/sm33206311 同じく元ネタの名馬の解説。こっちはネタより。
・http://www.nicovideo.jp/watch/sm14824890
・http://www.nicovideo.jp/watch/sm16349149
・http://www.nicovideo.jp/watch/sm18106839
・http://www.nicovideo.jp/watch/sm19623015
・http://www.nicovideo.jp/watch/sm21202474
・http://www.nicovideo.jp/watch/sm22387914
2011～13年に放送された、中央G1レースのCM集。名馬が主役で、ウマ娘に登場した馬も多数登場します。
これは昔から何度も見返していました。最高に格好いいです！アニヲタは絶対好きなはず！{/netabare}
～最後に余談（こちらも長いので折り畳み）～
{netabare}私にとって一番の思い出の馬は、テイエムオペラオーです
丁度私が野球を見るようになった2000年、歴史に残る快進撃で毎週のようにサンデースポーツで名前を聞いたことで、初めて名前を覚えた馬ですｗ
ウマ娘でテイエムオペラオーを演じるのは私と同い年の徳井青空で、そんな所にも勝手に縁を感じていましたｗ
そのテイエムオペラオーが、アニメ放送中の5月17日に死去しました
テイエムオペラオーの主戦騎手は、当時デビュー間もない若手だった和田竜二騎手
そんな若手騎手が、テイエムオペラオーと共にG1を7勝
「オペラオーにはたくさんの物を貰ったが、あの馬には何も返せなかった。これからは一流の騎手になって、オペラオーに認められるようになりたい」と話し、もう一度中央G1で勝利するまではオペラオーに会わないという漢の決意を結んでいました
しかしオペラオーの引退から17年、遂に和田騎手は中央G1に勝てず、オペラオーとの再会はなりませんでした
和田騎手はこの間に史上30人目の中央通算1000勝を達成しており、十分に一流騎手の仲間入りを果たしていました
なのに、なぜかG1にだけは縁が無かったんですよね
ですが昨日6月24日、17年前にオペラオーのG1連勝が途絶えた宝塚記念で、和田騎手は17年ぶりの中央G1勝利を挙げました
和田騎手はゴール直後から涙を拭い、レース後にはまた涙を流しながら語りました
「オペラオーが背中を押してくれた」「勝ってオペラオーに報告したかった」
スポーツであり、バイオテクノロジーであり、ギャンブルでもある競馬には色々な魅力があります
しかし一番の魅力は、人と馬とが織りなすドラマではないかと思います
そんなことを改めて教えてくれたこの作品に感謝します
R.I.P. テイエムオペラオー{/netabare}
