あぱぱ さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
生死の狭間に見えるものは
視聴回数 全話二桁回(20以上は超えています)
やや長文です。
先に書いてしまいますが、この作品は麻雀をほとんど知らなくても
物語を感じとることができる凄い作品です。
テーマは「生死観」というのが相応しいでしょうか。
麻雀のルールを知っている方が見ると、駆け引きの面白さは
十分に伝わるのですが、この物語は麻雀を通して人間の生死に
ついてメッセージを送ってきます。
登場キャラクター 主人公アカギを含めすべて男ばかりです。
この男たちがアカギに関わることによって、アカギの魅力へ
狂わされる展開になっています。
アカギ CV萩原聖人の演技が光っています。
実際に麻雀が強いのも魅力です。
ナレーション 古谷徹の落ち着いた低いトーンが耳に残ります。
最終対局のワシヅ戦は原作だと2017年にやっと完結したのが
記憶に新しいところです。
漫画で一晩の対局を20年かけて描いたのは、この作品しかないです。
{netabare}アニメではワシヅとアカギの対局は未完です。
ワシヅはアカギ大好きお爺ちゃんなので、そのやりとりも
物語を楽しむ要素になっています。{/netabare}
以下は私の感想です。視聴済みの方を対象に書いています。
{netabare}アカギという物語が生死観と言えるのは、積み上げた積み木
を崩してまた積み上げるを繰り返し、常に自分と闘っている。
崖っぷちの生から、生きている実感を感じるため逃げずに突き進む。
生きることの必死さを相手に感じさせることによって
自分が生死の狭間に立っていたいという欲求。
燃え上がるような命を華々しく紡いで人生を終えたいという願望。
アカギから「命とはどういうものなのか?」というメッセージが
ひしひしと伝わってきます。
純粋に生死を求める姿は狂気にさえ見えてしまうということでしょう。
そこが作品の「生死観」に魅了される描写だと感じています。{/netabare}
福本伸行キャラクターは、どの作品にも言えるのですが
私の感性では「鋭利な人間(凶器のような人間)」というイメージから
マッチングした作画だと感じています。
しかし受け入れられない方も多くいると思います。
オープニング曲はチャボが唄う昭和エレジー臭が満載の「何とかなれ」
エンディングはホルモンの激しいハードコアが熱くさせてくれます。
どちらも作品を最初から最期までイメージ通りに歌い上げている。
人生の中で崖っぷちに立たされるような場面に「何を思うか?」という
心理描写に興味がある方にはオススメ作品です。
(余談)
私が高校生の時、アカギの姿を見たのは福本伸行原作の「天」を
読んだのが最初でした。
すでに「天」ではアカギが中年期で登場していましたので、
アカギがスピンオフで連載された時は期待していませんでした。
結局、今では「天」と「アカギ」は同じくらい夢中にさせられて
しまいましたね。