fuushin さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
エルドラドを夢見ていられた神代の息吹を感じられる時代の物語。
4話まで視聴してから原作があると知って通読しました。
いろんなシナリオを絡ませながら、物語性も高く、構成もしっかりとしていると思います。
アニメはちょっとマイルドかな。でも、アシㇼパさんはいい動きです。
歴史的な事実に改変を加え、大胆にフィクション化することで面白さも極まっていて十分に楽しめます。
蝦夷が北海道と名付けられて(1869年8月15日、明治2年)、今年でちょうど150年になります。よい節目で世の中に広く知れ渡る機会を得たのだと思いました。
かつて蝦夷はアイヌ民族が先住しており、独自の文化圏を作っていましたが、その世界が目の前にタイムトリップしてきたようです。
本作は、「北海道の風土記」でありつつ、アイヌ(AYNU)文化、日露戦争の第7師団の203高地攻撃(1904年11~12月、明治37年)、マタギ、網走刑務所など、歴史的、文化的、学術的なエッセンスも盛り沢山。
特に、アイヌの人々の暮らし向きや、海山川野(うみやまかわぬ)鳥獣草木(ちょうじゅうそうもく)へのカムイ(神性)への畏怖と感謝の様相は、とても魅力的です。差別を受けてきた歴史があるのにも関わらず、それとは違う力強さと明るさが強く印象づけられている作品に仕上がっています。
なお、土方歳三は史実としては1869年5月11日に没しているので、キーパーソンとしては些(いささ)か創作的ではありますが、それを差し置いても本作においては非常に重要な人物。金塊の探索、囚人の入れ墨地図、アシㇼパの父などの構成要素と相まって、興味深い人間ドラマにもなっています。
本作を視聴するうちに、アイヌの文化に興味を持ち、図書館にそれを求めました。
「アイヌ民族写真・絵画集成」という全集があり、写真が豊富で、解説も分かりやすく、読み進めるうちに大きな収穫を得ました。イヨマンテ、チプサンケなど、アイヌの精神文化に触れたことは、本作のアウトラインを埋めるにとても参考になりました。
私は、摩周湖、屈斜路、羊蹄山、弟子屈(てしかが)などは知っていましたが、二風谷(にぶたに)は初めて知りました。ネットにも"二風谷アイヌ文化博物館"はアップされていますので、ぜひ参考になさってみてくださいね。
日本は、大陸文化の東の終着点。
日本人は、南方からは八重山諸島、北方からはオホーツク、西方からは博多、能登などから、相応の人数の人たちが辿りついて混血してできあがっています。
(香川県の多度津は、地名そのものに謂れを含んでいますね)
アシㇼパさんにもロシア人のDNAが入っているそう。
有史以前から、数万~数千、数百年をかけて混血されたのが日本人であることを念頭において、本作を通じてアイヌの歴史や文化をしっかりと観ていくことは、日本人の一つのルーツを知るうえでも貴重な機会なのでしょうね。
なお、熊の表現については、漫画、矢口高雄氏の「野生伝説」をお読みになるといいと思います。
もう少し楽しみながら視聴できそうですね。
観終わりました。とても面白かったです。
観たことのない景色、読んだことのない物語、耳にしたことのない言葉、あの時代を生き抜いてきた人たちが、いったん終わって、次回は10月からなんですね。
この夏(冬も?無理だろうな~w)、小樽や網走、二風谷アイヌ文化博物館に行きたくなっちゃいました。
長文をお読みいただきありがとうございます。
この作品が、皆に愛されますように。