「たまこラブストーリー(アニメ映画)」

総合得点
83.0
感想・評価
1246
棚に入れた
6619
ランキング
342
★★★★★ 4.1 (1246)
物語
4.1
作画
4.3
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
4.1

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たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 1.5 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

相変わらず作画だけは超絶凝っている京アニ

TVシリーズと映画を通して、評価に関してはこの作品は難しい。2009年の「けいおん」は恐らく10年前のあの時代だからこそあったオタクの共同幻想であり、実は80年代のラブコメとほぼ同じ構造にあるのだが。。いわゆる「平凡な日常こそ究極の楽園である。」という一種の甘えのようなものが感じられる。

作品自体は相変わらずクオリティが高く、背景美術やキャラクターの動きや演出に関してはレベルが高い。特に背景美術はキャラクターにリアリティを出さない代わりに徹底的に現実的で写実に拘っており、前にも書いたが「君の名は」もこの延長線上の戦略である。(元々はアダルトゲームの手法)

その前年のアダルトゲームブーム(主に泣きゲー)や、ライトベル系アニメの復活がそれを後押ししたのだろうが、そこには非常に「閉じた狭き門」が見え隠れするものだった。

極端言えば、この頃からアニメには男性向けの「女性しか出てこない」ものや、女性向けの「男性しか出てこない」ものなどの極北とも言える作品が立て続けに制作されて、しかもそのほとんどの制作が「京都アニメーション」である。恐らくは商業的なところを狙って「ある層」に特化した商品としての戦略だろうが、それが昨今の漫画やアニメの傾向を大きく変えてしまったことの功罪は大きい。

最近の漫画やアニメの傾向は「キャラクター設定重視」のものが非常に多く、まずキャラクターの性格や容姿、行動パターンを作り上げて、その後に「世界」を作るパターンが多くなってきた。要するに、「アイドル」を先に決めてステージ演出はそのために存在するのである。

しかし、現実は「舞台」ではなく「世界」である。

「世界」というのは自分と他者という「考えも生き方も違う個人」が跋扈するのである。

その人たちの「喜怒哀楽」を描くことにドラマがあるはずなのだが、「キャラクター」の設定が重視されるとそれは「個人」ではなく「そういう設定の人形」でしかない。

そういう「個人」を描くということが京アニの「新作映画」も含めてできていない。

だからどれだけ同性愛や身体障害者を描いたとしても、そこにいるのは「そういう設定のキャラクター」であって「世界」では断じてない。

投稿 : 2020/08/03
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