あぱぱ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
自己開発をされたい人向け
視聴回数 全話3-5回くらい
海馬は動物によって記憶能力はさまざまですが、「新しい記憶の一時保存」「一時保存された記憶から長期保存するための橋渡し」「新しい情報が過去の記憶と照合して、覚えているかどうか判断する」といった能力があります。
仮に機能しなくなると「新しいことはすぐに忘れ、昔のことは覚えている」という状態になると言われています。
本作ではチップと呼ばれるデータメモリが海馬の役目をしています。
体は性別や種類を問わず、チップ連結させれば乗り換えることが可能。
この作品は視点次第でさまざまなメッセージを感じることができると思っています。
まずこの作品で一番感じたのは「個人の冒涜」。
チップで生き長らえても羨ましいとも何とも思いません。
メッセージとしては反面教師に感じることを描いています。
{netabare}最期まで視聴された方はご存知かと思いますが、チップ内のデータバンクを他人が覗いたり、改ざんしたりなど人道的に疑わしい行為があります。
こういう行為を行った結果として、行き着く結末は原点回帰(データを集約して1つに補完)に至ってしまいます。{/netabare}
次に感じたことは「人の欲望と本質」
欲を出して得ようとしたことは、欲によって自滅するようになっている警告。
これらの内容は素直に視聴しても、自然に感じられる人道的なメッセージです。
そこで視点を変えたメッセージを私なりに書いてみます。
以下は視聴済みの方向けに書いています。
{netabare}・どうして肉体を変える必要がある?
・記憶は必ず必要なものなのか?
・どうして性別を気にする必要がある?
・人の記憶は本当に正しいのか?{/netabare}
このように自分自身に疑問を多く提示することで、この作品はリピートして自分の答えがいくつも出せる内容になっているのではないかと感じています。
個人が出す答えなので正解は無いと思います。そこで多くの人の意見が出て、作品が成長する深さがあります。
作画や音楽は、私の意見になりますが、問題提示になっている物語を理解しようとする思考に対して鈍らせようと、わざと仕込まれている感じがしています。
なんとなく考えさせられているような気分になって、視覚として気分がいいものではないです。
メッセージ性が強い作品ですが、未来にこのような事が起こらないとも限らないので、この作品のような事は起こしてほしくない願いはあります。
娯楽や面白さで視聴する内容ではありませんので、自己開発する目的で視聴されることをオススメします。
(余談)
この作品は自己啓発セミナーのような洗脳などと違うと認識しています。(そのような作品が文化庁メディア芸術祭で受賞しません)
過度な感情移入をしてしまうと誤認されやすいので、感情に余裕がある時に視聴されるのがいいと思います。
体調が悪いときなどに視聴されると逆効果です。