01oinaris さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
端的な言葉に響く余韻と「心の闇」 個人的には良作
報われない恋をしている高校生男女
寂しさを紛らせるために、心ではなく体のぬくもりを求める関係
ただ純粋に まっすぐに 歪んでいく
本作は思春期〜青年期の女性が内包する心の闇を丁寧に描写している
暗いとか重いとかでは言い表せない、いわば漆黒の闇。黒、ドス黒さ
黒く染まっていく画面(A/Bパート切替部)で、表現した登場人物の心
2割を白で残したり、逆に全てを黒く塗りつぶしたり…
登場人物の心の闇をうまく描写している
音階のずれたチャイムが暗示する、歪んでいく高校生の姿
本作主人公・安楽岡花火(CV 安済知佳)
見事なまでに、「どこにでもいる等身大の高校生」を声優が表現できており、抜群に素晴らしい。脱帽です。
私にとっての本作の一番の魅力は、ひとつひとつの言葉
長文ではなく、端的に、詩的に、かつ直接的に登場人物の心情を表現
短い言葉と、その後に続く余韻…
視聴者が登場人物の心情を外挿する余地が、その余韻の部分にある
本作のもうひとつの魅力は、登場人物の儚さと綺麗さ
一本一本の線の書き方、睫毛の数や方向…細かいところまで丁寧に描かれている
特に4人のメインキャスト(安楽岡花火・皆川茜・絵鳩早苗・鴎端のり子)の描き方が美しい
この4人はキャラ設定も非常に秀逸。見事にそれぞれ逆・裏・対偶の関係である
手に入らないもどかしさに空虚を感じる主人公、
手に入れているはずなのに、空虚な温もりしか得られない恋敵、
空虚だとわかっていてもそれを手にする友人、
空虚だとわかっているからこそ、手に取らずに眺めているだけの幼馴染、
うまく四者四様の恋愛心理描写を表現できている。
とにかく思春期女子の、無垢の裏側に潜む暗黒を丁寧に描写できている
これは女性作家ならではの作品だろう。原作作家から見た、おそらく現実の女子高生の姿。
(もちろん全員がこのような姿というわけではないが)
個人的な話だが、本作の直前に京アニKanonを見ていて、男子にとっての理想の女子像を散々見た後だったので、本作を見ると心に重く響く…
いかに男子が女子に幻想を抱いているか…
いかに女心が複雑で、男子には到底理解しえないものか…
OPEDとも、ハイティーン女子の心情をうまく描写した味のある曲で素晴らしい。
聞いていて胸が締め付けられる…心苦しく狂おしい快感を感じさせてくれる曲
おそらく本作は見る人を選ぶ、視聴者の好みに完全に左右される作品だろう。
生々しい性的描写も多いが、美しく描き切ったそこも含めて個人的には良作です。