「宇宙よりも遠い場所(TVアニメ動画)」

総合得点
93.8
感想・評価
2807
棚に入れた
9778
ランキング
12
★★★★★ 4.2 (2807)
物語
4.3
作画
4.1
声優
4.2
音楽
4.1
キャラ
4.2

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ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

視聴後の爽やかさよ、この上なし

2018.06.03記


オリジナルアニメです
固そうなところが協賛してます
脚本家が有名どころです
メイン4人は主役経験のある中堅どころが務めてます
・・・だけでなく脇を固める面々も主役級を揃えてます

と、ひっかかるものがいくつかあったので視聴を決め、1話で引き込まれ、毎週楽しみにしながらそのまま完走しました。
そのまんま「4人の少女が南極を目指す青春グラフィティ」です。
なにかを目指す、壁を乗り越える、抱えてた負を克服する。
視聴後に「ここから一歩を踏み出してみよう」という気にさせるような良作から一歩抜けた名作、傑作に該当する作品だと思います。


舞台となる『南極』は私たちにとってはなじみが薄い場所です。ともすると物語に都合の良い描かれ方をされた架空の『南極』になっててもおかしくないところを、文科省・極地研究所の協力もあったのでしょう。南極にまつわる描写だったり現実にあったエピソードのちりばめ方などを含めリアルさ加減がちょうどよくて説得力のあるものでした。そしてこのことがけっこう大事な要素になってたかと思います。
女子高生が南極へ行く!!って冷静に考えれば荒唐無稽ととられてもおかしくない設定である一方、劇中で描かれる人間模様はけっこう本質をついたものだったりします。夏隊の生活ぶりや南極へ向かう道程といったものがアニメで描かれたまんまとは実際はいかないのでしょうが、この、南極描写のリアルさ加減+リアルな人間模様の2つの組み合わせは相性がよく、フィクションなんだけどノンフィクション寄りの、例えるなら良く出来たロードムービーを観てるような印象を持ちました。
{netabare}旅に出たくなる。何かを始めたくなる。良作のロードムービーを観た後の感覚に近いという意です。最終話のエンドロール中にそれと思しきメッセージがありましたが違和感のない流れでした。{/netabare}


また「よく練られたストーリー」との評はその通りで、2周目での気づきもけっこうありました。そもそも2周目行きたいと思わせたのは作品に力があるということで間違いないです。{netabare}超展開で魅せるのではなく、丁寧な心理描写と背景含めてのちょっとしたカットが後々に繋がってくという流れは必見です。{/netabare}


若干(あくまで若干)画風が苦手な系統だったのと、ペンギン饅頭号をバックにぴょこんと跳ねてる4人のキャピキャピしたキービジュアルを理由に視聴に至ってない知人もいましたよ、という理由で作画のみ減点してますが、まぁ誤差みたいなものと思ってください。


■キャラ
キマリ、報瀬、結月、日向の4人は言うに及ばず、脇を固める大人たちがすこぶるいいと思う。主人公たち4人の引き立て役に落ちることがなく、時にはまだまだ未熟な高校生に言葉や背中で方向を示してくれる魅力的なキャラが複数いました。
{netabare}次回作やるとしたら貴子を中心とした第一回南極チャレンジの顛末とかみてみたいですね。{/netabare}

■声優
私なんかが言うまでもなく、贅沢すぎるでしょ。
抜くところ、締めるところ、演技力で魅せられたシーンは数知れず。
先に挙げた大人たち(観測隊員の面々)も含めて一線級揃えてなにがやりたいんだかよくわからんというぐらいの豪華声優陣です。穴がない。
例えるなら2009年第二回WBCで優勝した時がそう。スターを揃えて、イチローが率先して垣根を取り払ってチームの結束力が高まったものの、そのイチローが調子悪くてバタつきもして、それでもみんなで助け助けられながら一戦一戦乗り越えて、最後にイチローが決勝で試合を決める一打を放ち最高潮。
実力のある人たちの化学反応を堪能できます。
{netabare}能登さん、阿澄さん、日笠さんあたりは感慨深いですね。これまで艶っぽいキャラが多かった遠藤綾さんと元気少女役がハマってたLynnさんの本作での配役も意外性があって良かったです。それとポンコツ担当の松岡禎丞さんもいい味出してました。{/netabare}

■音楽
OP,ED,挿入歌、曲自体も良いのですが、曲への入り方もツボ押さえていて最高です。
{netabare}第一話のラスト『ここからここから』サビのところで決めのカットを差し込み音量一段上がるところ、つかみはバッチリでした。良いシーンで都度都度流れる『ハルカトオク』は涙腺を刺激しました。12話の『またね』そのままエンディング in はその回で描かれた内容と次で最終回だの現実と合わせて喪失感を覚えました。総じて演出は過剰ではなく適切だったと思います。{/netabare}


メインの4人、キマリ、報瀬、日向、結月については直接作品を観て感じてほしいです。

{netabare}評価の高い12話。作品名と同名のサブタイトルになってます。
これまでちょいちょい出てきた「Dearお母さん」のメールについてこの回で初めて中身の詳細に触れてました。初めて友達ができました、という報告です。これほどの熱量、伝えたいことがメールの数だけ報瀬にはあったんだね、と思うともうなんていうか。。。{/netabare}



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2018.10.21追記
《配点を修正》


“旅に出る”という響きは魅惑的だ。
それこそ猿岩石ユーラシア横断ヒッチハイクの旅や、いしだ壱成「タイは若いうちに行け」やらに触発され、日本の外へ飛び出した自身の経験とも重なり、本作のラストメッセージはとても共感ができるものだった。

もちろんご都合展開が無いなら無いでそれにこしたことはないものだし、作画・音楽・声優・キャラの魅力その他作品を構成する要素はあるものの、やはり作品に通底するメッセージを受け取り手が共感するかしないか、私が大事にしてるのは“作り手からのメッセージへの共感”であるなぁ、と実感した次第。


聞けば海外へ出る若者が減少の一途だそうだ。
上段から「最近の若いのは」という気はさらさらなく、この作品を観て旅に興味を持ってくれればと傍観者を気取る気もなく、

「お前らが行かないなら俺が行ったるわ!」

当事者である自分というものを大事にしたいと思いました。

投稿 : 2018/10/22
閲覧 : 879
サンキュー:

121

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