あぱぱ さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
言葉がない手紙
視聴回数 5回くらい
東日本大震災から1年後に上映された作品です。
私には思い入れもあったせいか、何回見ても胸が苦しい気持ちでいっぱいになってしまいます。
いつかはレビューを書こうと思っていましたので、書いてみました。
私が感じているテーマは「後悔」です。
ロケ地 呉市豊町の御手洗は私の家から車で行けばそこまで遠くはなく、見たことある風景が描写されていたので映像化されて感激していました。
近所に巡礼地が幾つかありますが、ここが一番リアルに描写されています。
物語は父を亡くして新しい土地へ母と一緒に転居した少女の物語です。
大筋の物語は半分くらいまでは道徳的な表現を混ぜた、子供向けな内容が含まれています。
・人の物を盗んではいけない
・嘘をついてはいけない
・約束は守ろう
といった、ごく当たり前な社会常識を物語に盛り込んでいます。
物語からのメッセージは、これ以外に大人子供どちらにも感じてほしいことが含まれています。
それは上記した私が感じたテーマ「後悔」です。
以下ネタバレは物語の中核にあたる内容ですので、未視聴者には見ないことをオススメします。
{netabare}主人公のモモは父が亡くなる前に酷いことを言った自分に後悔しています。
東日本大震災と被ってしまうのが、震災で家族を失った方々にも、この作品のように亡き家族へ手紙を送りたい人が大勢いると思うと、忘れようにも忘れられない想いを掘り返す、残酷な作品だなと感じてしまいます。
もちろん、震災以外でも世の中で亡き家族のことで後悔されている人は多くいると思っています。
この物語のように亡き人へ手紙が送れるのあれば、送らせてあげたいです。
作品の最後に精霊流しで手紙が届く場面は、上記のような経験を実際にされたことがない人が見ると感情に刺さることもなく過ぎ去っていくのも寂しい限りです。
悲しいところだけ先に書いてしまいましたが、作品キャッチコピーになっている「気がつけば、私ひとりじゃなかった」という、救いの手を差し伸べた暖かいお話になっています。{/netabare}
作画は一流のスタッフ陣が参入しているだけあって、どのキャラクターも表情だけで感情の訴えが直に感じられます。妖怪たちが登場しますが、もう「となりのトトロ」ですね。
CVは俳優など本来のアニメ声優ではありませんが、それぞれのキャラクターに合わせて声を作っていたのが印象的。
どんなニーズへの作品かと言えば、家族の絆について想い直してみるには最適な作品だと感じています。
長くなりましたが、私的な感想も交えてしまうほど素晴らしい作品です。