reath さんの感想・評価
3.3
物語 : 2.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:途中で断念した
原作プレイ済み やはり原作が凝ってる作品ほど劣化が激しいと落胆してしまう。
原作プレイ済みです。
基本的に原作アニメ映像化は嬉しい派ですが、やはりこういう原作が長く様々な専門用語、専門知識をもとに綴られていく作品では全ルート1クールに収めるスタイルはかなり無理があるなといった感想です。
映像、原作愛からくる様々な演出はこじんてきにはかなり高評価で、
監督さんの原作に込めた思いがひしひしと伝わってきますし、とても愛情深さが伝わってきます。
ゆえに、個別ルートに入る前の3話まで(日常パート)はそれなりに良い感じにまとめられていると思っても、かなりの部分を端折っているため個別ルートに入るまでの伏線不足でキャラクターの心情変化や情勢、主人公の鋭さの理由やらが説明されておらず、やたら唐突な感じになってしまうのは尺に収めるためにはしょうがない部分であると思います。
やはりアニメでは物語ではなく、雰囲気を楽しむものなのかなと思いました。
さてさて、問題の個別ルートですが、完全に尺不足な都合上、やはりキャラの心情変化が唐突すぎですね。
例えば4話のみちるに感しては、原作ネタバレを含んで書きます。
アニメで端折られた部分がどれほど説得力に影響するか書いてみようと思います。
まず
みちるルートの過去回想について。
ここではどうしてみちるが死にたいと思ったかが語られます。
みちるは小さい頃からずっとどこか頭が足りない馬鹿の子で、みちるの実家がかなり裕福な家だということもあって両親から様々な有名な家庭教師をつけて勉強しますが、成績は常に最低、子に甘い父親は、その度家庭教師達を罵倒します。
家庭教師たちも様々な方法でみちるの成績を伸ばそうと努力しますが、みちるはどんなに頑張っても成績を伸ばすことができませんでした。
そのため、どんどんと評価を落とされていく有名な先生たちは、不満がたまりみちるに虐待紛いの暴力をして教育していくことになります。
みちるは馬鹿ですが自分が馬鹿なことは自覚しており、このころから既に自分の存在意義について疑問を感じていました。
そうこうしているうちに両親たちも、勉強はできなくてもいい。ただ健康に育ってくれればそれでいい。とささやかにみちるの成長を望もうとしますが、みちるは心臓が悪く、運動どころか、まともに生きていくのも難しい身体ということが判明します。
身体の成長とともに、通常の生活程度なら送れる程度に回復しますが、親からも期待されなくなり、放任的になったことから、ますます自分がダメで必要とされない いらない子なんだと自分の精神を追い詰めていき、ただ何も考えずに存在するだけの生ける屍となっていました。
何度も自殺を考え、でもその理由やタイミングなどがなかなかなく、自分の判断でも自殺に踏み切れないところに、自殺しようとする女の子を学校の屋上で見かけて、いつも自殺することを期待しているのに、その機会が訪れなくて苦しんでいたのに、勝手に自殺しようとしている女の子に「ずるい」と声をあげてしまい、結果的に自殺を食い止めます。
自殺しようとしていた女の子は、みちるの態度に肩透かしを食らい、自殺を防いでくれたみちるに感謝し、友達になろうと言ってくれます。
この女の子は、みちるにとって初めての友人で親友になりました。
今まで友人と遊んだ経験が皆無なみちるを物珍しく思った女の子は、みちるを色々な場所に連れまわし、一緒に遊んで二人はとても楽しい思い出を作っていきます。
大好きな親友と一緒に過ごすことを生きる糧として得たみちるは親友とはずっと一緒だよって思うことで自分を保つようになります。
しかし、そんな女の子は、惚れた男のおもちゃとしてかなり過激なことをさせられていて、それが学校中で噂になり、前回自殺しようとしたのも、子供が出来てしまって放心してるところで、ふらっと自殺しようとしてしまったためでした。
その後も長い時間その男におもちゃにされていましたが、女の子はその男に惚れているのでどうされてもよかったけど、捨てられることだけは耐えられず、ボロボロになり棄てられたことで完全に生きる意味を見失い、みちるの前で自殺します。
みちるもこの時すぐ後を追って自殺しようと思いますがみちるはその光景をみて心臓病が悪化。
倒れてしまい自殺は出来ませんでした。
私もいつになるかわからないけど、その時が来たらすぐあなたの元にいくよ。と言って気を失います。
その後、心臓描画悪化したみちるは、心臓の移植するほかないと判断され、金持ちの両親の子供に尽くす義務として、アメリカでの心臓を移植手術がなされます。
手術は成功し、みちるは普段の生活を取り戻しました。だけど、精神的に完全にふさぎこんでしまいます。ただ、移植後からは、時々記憶の欠落が発生し、意味も分からず更に両親や周りの人間からがやけに優しくされたり、信頼されるようになって疑問を感じるようになりました。
みちるは嬉しくなって意識が覚醒した状態で過ごすようになりますが、失敗し意気消沈して沈み込んで、また記憶が途切れて ということを繰り返します。
そのうち周囲は、調子のいい時のみちる、調子の悪い時のみちる とみちるを区別し始めます。
調子のいい時はなんでも器用にこなし、みんなから評価されます。
調子の悪い時は色々失敗し、みんなから落胆されます。
自分が沈んでいるときに別の自分が皆とうまくやっていることに気づいたみちるは、自分の中に知らない誰かがいることに気づき、その誰かをひどく嫌うようになります。
一方その誰かとは、心臓を移植されたアメリカ人の少女でした。
彼女はこの体はみちるのものなのだから、みちるの人生を幸せにしてあげるのが自分の役目だと思い、みちるにおせっかいを焼きますが、それがますますみちる自身の存在意義を失墜していくことになります。
別の誰かが、いいみちるを演じることで、悪いみちるとされ、両親から「今日は調子の悪いみちるだね。明日は調子のいいみちるだといいなぁ」
といわれたことをきっかけに自分の中の誰かに必死に訴え、自分で自殺しようと図りますが、それを両親にみつかり精神科病棟に隔離されます。
そこにいる人は異常者といわれたけど実際は普通の人ばかりで、ドジを踏んでこけたことで笑いをとれたことから、自分は馬鹿なことをして笑いを取るキャラとして自分の存在意義をみつけます。
そうして精神が安定して精神科を退院してそのまま美浜学園に入学。
ツンデレキャラを作り皆を笑わせるというキャラを演じるようになったというのがみちるの話です。
みちるはそうやってバランスをとっていましたが、黒猫のにゃんめる(原作では雄二と一緒に名付けた)が自分のヒステリックが原因で飛び出し行方不明になって車に引かれたのを目撃したことで、やはり自分は誰かを不幸にしかしないと思い悩むことで死にたいと願い、永遠に別の人格に代わって目覚めないことを選ぼうとします。
それを食い止めるために実際に死んだ経験をさせる というのが雄二の取った行動です。
みちるを筋弛緩剤でうごけなくさせて、実際に葬式をおこない、天音たちみんなから死者にむけての最後のお別れで嘘偽りのない気持ちをきかされ、手紙も棺に同封させ、みちるは埋められて、皆の手紙を読み、雄二との唯一の連絡手段である携帯電話の電源も切れてしまったことで完全に助からない。完全に死にんでいくという自覚が生まれてから初めて死への恐怖を感じるようになり。様々な葛藤、別人格との会話、過去の親友との決別をむかえて自力で棺から出ることを選択する。
これが原作のみちるルートとなります。
これでも内容はかなり省いていて、みちるルートの流れを要素を抑えながら説明するにはこれだけの説明が必要になります。
つまりみちるルートを語るにはとてもではありませんが、アニメ1話や2話程度で収まる容量ではないわけです。
結果的に、よくわからないけど二重人格みたいで、よくわからないけどいきなり墓にうめられて、良く分からない多重人格との会話で墓から出る決意をした。
という風になってしまうわけです。
とても長くなってしまい申し訳ありませんが、やはり”物語”を見るなら原作に限ります。
他のキャラクターもほとんどこうしてアニメでは”語られない”物語がたくさんありますので、原作付きのアニメ(特にノベルゲー原作物)はアニメだけで消化してしまうのはもったいないのだと改めて感じるものとなってしまいました。
まあ、例外としてひぐらしのなく頃になどの作品は、うまく要点を抑えてまとまっていますし、やはり1期で2クール、2期合わせて4クールある分、ちゃんと要素を抑えて原作の長大なシナリオを上手にまとめられましたが、こうして1クールで強引に1つの作品をまとめてしまうと、こうなってしまうのだなと、やはり残念な気持ちが大きくなってしまう。そんな作品でした。