Keiner さんの感想・評価

3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

ヘビーな設定、ライトな展開

原作未読。石鹸枠好きとしては非常に楽しめた作品。同クールに同系統の作品が固まったので、ここの印象が薄く、視聴者も分散してしまったのが残念。

ラキスケ、ハーレム、中二設定、決め台詞、学園イベントなど、かなり手堅くテンプレを押さえていて、キャラも立っている。ヒロインの個別回を淡々とやってから（ハーレムを作ってから）、主人公回をやって終了、という流れも非常に分かりやすく、安心して見れた。

世界観や設定の説明がほとんどなされない点は、ロクアカのアニメにも似ている。テンプレなので説明する必要なし、ということだと思われ、結果的にはテンポが良くなっていていいと思う。

主人公だけが時代遅れの剣を使って戦う、という若干のイレギュラー最強系主人公の要素もあるが、普通に敵も剣を使ってくる。バトル面では、小隊の連携などはうまく描かれているものの、折角の剣なのに動きが乏しいのが残念。必殺魔法の打ち合い（砲撃戦）という印象が強い。もう少し工夫がほしかった。

アニメの範囲ではほとんど世界観が明かされていないが、主人公たちは「異端審問官」という、現代的にはネガティブなイメージの肩書で、それにも関わらず作中では正義の味方っぽい描写。今後の展開で、おそらく敵と正邪の別がつかないような設定が出てくるのだと思われる。キャラの設定や過去も重く、同系統作品と比べると、暗めの設定に感じた。

ただ、この作品の特徴は重さではなく、重い設定をものともしないいかにもラノベな軽い展開だったと思う。ヒロインのとことん重い過去を、主人公が取り合えず半分背負う宣言し、クソダサスーツに変身からの必殺技ドカーン⇒ヒロイン落ちる、の流れはもはや伝統芸能。

ヘビーな設定、ライトな展開というアンバランスさがシュールでもあり、ツッコミどころでもあったが、各エピソードに一応のドラマ性、盛り上がりを持たせていたように思う。

声優さんたちの演技は、（こんな内容だが）シリアスからギャグまで迫真だったように感じる。強いて言えば、主人公は性格も声もあまりにも第四真祖だったので、もう少し違ってもよかった（演技自体は素晴らしい）。

総じてみると、堅実な石鹸枠アニメであり、何も考えずに楽しめるいい作品だった。もちろん、所詮は石鹸枠アニメなので、二番煎じ感や、チープさは当然ある。この系統が好きな人専用だとは思うが、同系統の中では比較的優等生と言える気がする。