あぱぱ さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
旅は道連れ世は情け
視聴回数 全話10回以上
制作会社マングローブが存在しないので、一区切りとしてレビューを書きます。
物語はシーズン1からの続き。安芸の国から長崎までの道中記。
このシーズンは9話のうち6話がシリアスストーリーになっています。見所といえば2話構成の女旅芸人の物語と、ラスト3話構成の目的の根幹にあたる物語です。
以下のネタバレは視聴済みの方向けです。未視聴の方は見ないことおすすめします。私個人の印象です。見てしまうと作品の面白みがぐんと減ります。
{netabare}まずシーズン2が「これまでと違う」と感じた方がいらっしゃると思います。
目に付く点だと、作画がバラバラ(手抜き?)であったり、ムゲンとジンの印象が変わってきたりなど、どことなく人間の丸みを感じられるように思えます。
ムゲンが文字を覚えようとしたり、ジンがフウのために意識的に用心棒をしたりなど、人としての営みをしようとするところです。これは九州に入って長崎に近づいていくほど人らしく見えてきます。
この変化が己の力にも微妙な影響が出ているように見えます。これまでであれば、ほぼ最強クラスの力を発揮していた二人ですが、幾度か窮地に追い込まれる場面がでてきます。(もちろん相手も今までと比較にならない強さです)
ムゲンとジンが決して弱くなったわけではないです。
ここからが私の主観ですが、3人で旅を続けてきて無意識に仲間感情が、ムゲンとジンの心に人として変化をもたらして、力でねじ伏せるような本来の力の出し方が変わってきたように感じてます。(人斬りシーンはシーズン2になってから格段に減っています)
フウは旅立ちから決意と覚悟を決めていたので、長崎に近くなればなるほど用心棒としてよりも仲間であるムゲンとジンの存在が断ち切れなくなっている自分に気づいています。
ジンは女のセンチメートル(センチメンタル)と言っていましたが、3人の過去を暴露し合えたフウは今までの長旅にここで一区切りつけています。独り立ちの大きな変化だと感じます。{/netabare}
{netabare}大詰めのムゲンとジンが決着をつける場面と、その後の二人の台詞が長旅で見つけた仲間への本心の言葉だと思うと感涙してしまいました。
実にこの終わり方はロードムービーの理想すぎて、これからの3人の物語を見なくても、視聴者の中の3人はこれからも旅を続けていけます。
「じゃあね。また、いつか」
勝手な想像ですが、3つに分かれた道の行き着く先が実は1本につながっていて、拍子抜けな再会にいがみ合いながら、ムゲンが「次はどこ行くんだぁ?」など言いながら笑顔で歩く3人がいたりするかもしれません。{/netabare}
シリアス部分はネタバレしてしまいましたが、パロディネタが絶妙に配置されていますので、元ネタ探しするのも面白いです。
意外な歴史上の人物をネタに取り上げていたりしますので、そこは見所です。
この作品のように、辛くても素敵な旅が一緒にできる仲間がいれば、人生の財産になると信じています。