◇fumi◆ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
静かなる吹奏楽は現代アニメのメインストリームから大きく逸れた挑戦的作品
2018年公開の劇場版アニメ 90分
原作 武田綾乃 監督 山田尚子 脚本 吉田玲子 キャラデザ 西尾大志音楽 牛尾憲輔 音響監督 鶴岡陽太 制作 京都アニメーション
テレビアニメ「響けユーフォニアム」初の完全新作劇場版なのですが、
スタッフに大幅な変更があり、スピンオフと言うより設定を借りた別作品と言う印象です。
スタッフには、山田尚子、武本康弘、吉田玲子などの名があり、
聲の形のスタッフが中心です。石原立也は監修。
脚本家が変わったと言うことで、部活根性コメディはほぼ消え去り、
学園ものでありながら、陳美的で印象派的(サティのような)な180度方向性が変わっていました。
映画監督小津安二郎のファンだと言う山田監督ですから、
このスタイルが本当にやりたかった創作姿勢なのかもしれません。
もちろん、現段階であってクリエイターは日々変化するものですが。
鎧塚みぞれ CV種崎敦美 主人公 高校3年生 オーボエ担当
傘木希美 CV東山奈央 高校3年生 フルート担当
リズ/少女 CV本田望結(俳優、フィギアスケート選手、吹替声優)
が、主な配役で本編の登場人物も順次登場します。
この作品は響けユーフォニアムの別角度を切り取った作品とみられがちですが、
私には原作をもとにいちから作り直したように見えました。
脚本のプロフェッショナルである花田先生の描いた物語は、
日本のアニメーションの歴史が息づき、情報量の多さが特徴です。
山田、吉田コンビで創作したと思われるこの作品は、
極力空白を描くことに注力した、
なんといいますか、過去のアニメの歴史と違う視点で造られたように見えました。
本来ならギャグとして楽しめるはずの、チャルメラを吹いてニヤッとするシーンにぞっとしてしまいました。
水槽の中のフグの子供も可愛くなかったし・・・
これは大変な挑戦作であり、原作未読の一見では測りかねるところがあります。
変更されたキャラデザは媚びも色気も排除された舞台俳優の演技のようでした。
髪の毛が数本垂れ下がってるのは好みでは無いです。
なんか「番町皿屋敷」のお菊さんみたいで。
今回は好みに合わなかったと言うことで正直に辛口評価にしました。
しかし、可能性が感じられましたので再視聴で大きく変わる可能性があります。
都内の映画館で観たのですが、客は20人 内、女性は二人、年配の男性ばかりでした。
私が見たアニメ映画(30本くらいかな)で最もガランとしてましたので、
ネットと現実の温度差が感じられました。