けみかけ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
友達の友達は友達なのかもしれないがこの作品にはそんな都合の良い関係は存在しないけど曖昧であるが故の微妙な距離感ならある
まんがタイムきららフォワードが誇る最後の砦というか、現状の連載陣の中では最強にして最高の傑作コミックが遂にアニメ化した!
山梨県を主たる舞台に“冬のソロキャン”を趣味とする寡黙な女子高生、志摩リン
キャンプ初心者だがリンが心を開く数少ない友人となる転校生、各務原なでしこ
なでしこをキャンプの世界へと導こうとする高校の野外活動サークル、大垣千明と犬山あおい
この四人の女子高生を中心にしつつ、キャンプに興味は無いがリンとは仲が良い斉藤恵那
彼女らの顧問となる高校教師の鳥羽美波を加えた女子だけの現代キャンプHow To、アウトドアあるある、コミカルな人間模様を描いた全12話です
『ヤマノススメ』と唯一違うのは「絶対に自力登山はしない」ところですが、あとはそれほど大きな違いは無いと言っても良いです
まあ、山梨市駅から笛吹川フルーツ公園の頂上まで徒歩で行ってるので十分登山してるとは思いますがw
とにかく原作の時点で構成に関してはほぼ完成していると言って良いほどの傑作です
“冬のソロキャン”という常識を逸脱した趣味を持つ志摩リンは、恵那となでしこには心を開いているのですが千明とあおいは苦手としているのがハッキリ描かれています
さらに恵那はリンの良き友人ではあるものの、キャンプについては基本興味が無く、口では良い様に言うものの実際にリンのキャンプに付いて行こうとはしません
しかし人当たりの良いなでしこだけは“リンと恵那”“千明とあおい”という2つのグループを行き来し、彼女らがグルキャンを成功させるまでのキッカケを作ることとなるのです
でもよくある孤独なキャラが仲間と触れ合うことでグループの連帯感に染まっていくステレオタイプな作品ではないんですよ、コレ
あくまで心に一定の距離を置いた者同士が、キャンプという共通趣味の元に集う、という作品なんですね
女の子が群れる、というまんがタイムきらら作品やそれらの路線を意識した昨今の日常系アニメ作品達に一石投じる【関係性】を重視した作品と言えるでしょう
また、女子高生が主人公だからキャンプで飲む酒の味は格別!なところを描けないと見せかけて、シリーズ後半にグビ姉こと鳥羽先生を登場させてキャンプメンバーに追加させる、というのがニクイ演出です
アニメ独自の演出としては、ナレーションに大塚明夫さんを採用した点や松ぼっくりやビーノが呟きを発する小ネタが飽きの来させないテンポ感を産むのに一役買ってます
京極義昭監督はこれが処女作とは思えぬ功労者ですね
いわゆる“美少女動物園”と揶揄される昨今の日常系アニメ作品に若干食傷気味なオイラにとって今現在この『ゆるキャン』を超える作品は無いと感じてます
他のまんがタイムきらら系作品よりも原作の1話1話が濃密な内容である為、第2期発表も遅からずあると思います
また、作品とは直接関係ありませんがアニメ開始と同時にキャラグッズや聖地巡礼に纏わる情報が公式や地方自治体から出揃うというポストプロモーションの上手さも評価したいところです
最近のアニメは鮮度を大切にしている割りにキャラグッズや舞台となる地方への根回しといった公式の仕事が遅い作品も多々ありますが、その点において今作は完璧だったと言えるでしょう
ちなみにこれはネタなんですが第1話開始数秒で“ミニベロで本栖みち(国道300号線)を走破している”のが、既に『弱虫ペダル』より凄いことをしているのには笑いますよねw
なんて唐突な冒頭なんでしょうかw
「おもろいからやでー」