たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
「コナン」より「金田一」派
名探偵コナンの女性人気たるや凄まじいものがあり、映画館に行くと女性ばかりである。どうもミステリーが好きだというよりはキャラクター人気でシリーズが続いているようであり、男性より女性の方がそういうところは熱狂的である。
しかし、ミステリーを考えると個人的には「金田一少年の事件簿」の方が驚かされることが多い。しれっとグロいシーンが多かったり、ポルノちっくな淫猥な表現もこちらの方が上で人間描写がエグく描かれている。
人間は見た目や雰囲気で推し量るのではなく、論理や証拠のみが真実を教えてくれるという冷たい視点は現代の淀みきった人間社会をうまく表現している。
「真実」を教えてくれるというのは映画でもよくあることである。
昨年公開し世界的に大ヒットした女性解放の旗印のスーパーヒーローワンダーウーマン。誠実さと正義のために悪と戦う完全懲悪な内容だが、生みの親であるウィリアムマーストン博士(嘘発見器の発明家でもあり、漫画原作者でもあるというすごい経歴の持ち主)は、実際、そういった保守的な思想とは相反した人物で、1930年代当時のアメリカでは犯罪同然であった、一夫多妻制を勝手に行い、妻と愛人と博士で同居しながら、二人共に子供を作り、しかも夜の性生活は当時裏で流行った「ボンテージ」と「SM」を3人で楽しんでいたという。ポルノ漫画と「ボンテージポルノ写真」の愛好家であり、最初は愛人、妻共々に引かれるが、ワンダーウーマンを執筆し売れて儲かると夜な夜な3人プレイを楽しんで享楽していたという事実である。
ワンダーウーマンの衣装が「ボンテージビキニ」だったり、よく縄で縛られたりムチで打たれたり、女性同士が寝技したりするシーン(原作だと度々行っている。)は実際にマーストン博士の性的趣向が反映されてのことだったのだ。
詳しいことは映画「マーストン博士とワンダーウーマンたち」を見て欲しいが、
要するに我々人間というのは多面的で複雑な事情で日常を生きているのである。「善」や「悪」に一方的に偏るものではないのだ。仲良いカップルは明日は破局するのかもしれないし、普段親切な隣人は発狂して殺人鬼になるかも知れないし、明日は交通事故や災害で死ぬかも知れない。。。。
ネガティブではあるが、そういった人間が根底に抱く社会に対する「不安」をミステリーとして仕上げている漫画はこの作品ぐらいだろう。
君はこの日常を生き延びることができるのだろうか。。。