「School Days-スクールデイズ(TVアニメ動画)」

総合得点
80.9
感想・評価
3081
棚に入れた
14114
ランキング
434
★★★★☆ 3.4 (3081)
物語
3.5
作画
3.3
声優
3.4
音楽
3.4
キャラ
3.4

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ネタバレ

01oinaris さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

修羅場&鬱アニメの傑作 「最低にして最悪にして最高の鬱アニメ」

第一話から第三話の恋愛模様&修羅場フラグ、まるでめぞん一刻みたいな甘酸っぱいラブコメ…
と思わせてからの、その後の息をつかせぬ泥沼展開にずっと鳥肌が立ちっぱなしで、最終話まで一気見。(そして間髪入れずに2周目も完走)
久しぶりにすごいアニメに出会った。
昼ドラのようなドッロドロ泥沼愛憎展開に、主人公&二人のヒロインが堕ちていく様。
"ヤンデレ"という言葉(ことば)定着の契機にもなった、言葉(ことのは)の精神崩壊。
あまりに凄惨な描写と、放送前日の事件のせいで、放送休止となった最終話。
話題作となるのも納得。

まさに太宰治『人間失格』の高校生恋愛バージョンをアニメにしたようなもの。
人間失格では、欲の趣くまま、流されるままに女と酒と薬物に溺れていき、自殺(心中)未遂を重ね、腐り切って堕ちていく姿を描いているが、
本作の主人公も違わず、真面目でウブで奥手だった誠が、求めるまま・求められるままにクラスメート女子に溺れていき、自分も周りも不幸にしながら腐って堕ちてゆく。
人間失格と違うのは、前者が反省と後悔と自暴自棄から自殺未遂を繰り返すのに対し、
本作は自分の行為・言動を省みる間もなく(というより思考放棄したまま)終結する点。

見ていて気持ちのいいアニメではないし、全話ずっと胸が締め付けられるような苦しさを感じ続け、そして…これ以上はない、というバッドエンド。
かなり異端のアニメだが、文学作品のように一つの芸術として評価したい。
修羅場&鬱&バッドエンドアニメとしては、私の中では最高峰の傑作です。
見る人の趣向やグロ耐性に左右される問題作ではあるし、あまり他人には勧めない。
ただ、昼ドラ愛憎劇が好きで、サスペンスホラーも好き、という人であれば大丈夫でしょう。

色々な意見もあるし、「誠氏ね」「自業自得、当然の報い」と思うのも無理はない。
小生は…残念ながら誰も嫌いになれなかった。
{netabare}
誠は、他人に対して、特に女心に対して誠実になれなかった。自分の気持ちに誠実すぎた。結果的に泥沼に陥った時、共感性の欠如から思考停止してしまった。
世界は、おせっかいキャラという仮面を被って自分を偽ったあげく、仮面の中の世界に満足できなくなり、誠を独占することで心の隙間を埋めようとした。自らの行為を黙殺して…
言葉は、教室内での疎外・孤独感を、誠の彼女だという言葉に固執することで埋めようとした。現実を直視することを拒否した結果、空想の中に逃げて生きることしかできなくなった。
…ちょっとくらいなら、誰しもが一瞬思うことではなかろうか?
一人一人の軽微な選択ミス、ボタンの掛け違い、これらの積算の帰着点としての、凄惨な結末。
本作のメインキャストは、誰もが悪いし、誰も悪くない。
誰かが身を引けば、冷静に現状を俯瞰すれば、少し勇気を出せば、凄惨な結末にならなかったのに、誰も冷静になれなかった。自分が悪い、という現実を黙殺したせいで…
聖人君子のような巷のアニメキャラとは一線を画した、ある意味人間味あふれる、己の願望にただ忠実に生きた愛憎劇の当事者たち。
みんな狂っているし、みんな純粋に自分に正直に生き、見たくない自分には嘘をついた。
小生は誰もが嫌いだし、誰も嫌いになれない。
{/netabare}

OP曲は第3話までの甘酸っぱい学園ストーリーと綺麗にマッチしている。
ただし、その後の泥沼展開とのギャップに…いや、これは幸せだった過去の映像として見るべきか。
あの頃はこんなに良かったのに…どこで選択を間違えたのだろう…どうすれば幸せになれたのだろう…と思い始めると、もうOPから切なくてたまらない。まさにOP詐欺です。
ED曲は複数種存在するが、どれも各話のキーパーソンの心情をうまく表現していて、これまた切なくなる。
「ウソツキ:1/8話ED」「記憶の海:4/7話ED」「涙の理由:6/10話ED」とかは最高ですね。毎回鳥肌立ちます。
挿入歌やBGMも含め、見事なまでにうまく音楽とストーリーを調和させている。

一言で本作を評するなら、「最低にして最悪にして最高の鬱アニメ」 

視聴するかどうかは…太宰治『人間失格』が好きかどうかで判断できるかな。
参考までに、人間失格のはしがき(冒頭)を一部省略&アレンジして以下に記載。
視聴してから読み返してみたけれど、見事に主人公・誠を言い表しているような気がしてならない。
{netabare}
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私は、その男の写真を三葉、見たことがある。
一葉は、その男の、幼年時代、とでも言うべきであろうか、…(中略)
女のひとにとりかこまれ…醜く笑っている写真である。…通俗の可愛らしさみたいな影も…ないわけではないのだが…ひとめ見てすぐ、
「なんて、いやな子供だ」…その写真をほうり投げるかも知れない。
第二葉の写真の顔は…美貌の学生である。…羽毛のように軽く…造り物のように…笑っている。…軽薄と言っても足りない…気味悪いものが感ぜられて来る…
もう一葉の写真は、最も奇怪なものである。…自然に死んでいるような…不吉なにおいのする写真であった…
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{/netabare}

駄文拙文で感じたこと、思ったことを徒然なるままに書き綴りました。
これから見るつもりであれば、一切の事前情報・内容を遮断して一気見した方が良いでしょう。(ここまで読んだらすでに手遅れかも知れませんが…)

投稿 : 2018/05/14
閲覧 : 438
サンキュー:

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