01oinaris さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
タイトルと見た目に騙された これはSADに対するself-ironyです
何も事前情報なく視聴した率直な感想。
タイトルとキャラ的に、ツンデレ系ヒロインのラブコメだと思って視聴したのは間違っていた。
これは、社交不安障害 (Social Anxiety Disorder; SAD) 当事者によるself-irony。
家族やごく一部の友人など、自身が本当に心を許す人物以外とは全くコミュニケーションが取れない、一種のコミュニケーション障害をもつ女子高生主人公の学校生活奮闘記。
コメディやパロディ、時折入る下ネタギャグを多用しているおかげで、かなり自己皮肉めいていて笑えるし面白かったけれど、深層はかなりエグい。
OP曲とその映像に表されている通り、本質はSAD当事者の世間に対する嘆き・恨み・憎悪・嫌悪・憤怒の感情を生々しく詰め込んだ作品。
モブキャラの顔や表情がちゃんと描かれていない、その割に口だけが描かれているのは(予算面の都合などもあったのかもしれないが…)、私は「SAD当事者から見た実際の風景」だと思いたい。
ごく一部の知っている人物以外は、恐怖と不安から顔や表情をうまく認識できない、記憶できない、もしくは口だけが喋っているように見えているのではないだろうか?
(このあたり、もし私の認識が間違っていたらごめんなさい。遠慮なく指摘してください。)
OP/ED曲は非常に本作とマッチしていて素晴らしい。
前述の通りOP曲は世間に対する怒りをパンクロック調で表現し、
ED曲は自分に対する反省と明日への希望をポップ調で表している。
視聴初期は主人公が可愛くなくて、若干汚くて(すみません…)、あまり続けて見たいとは思わなかったけれど、見慣れてくるとだんだん主人公「もこっち」が可愛く見えてくる。
そして、「もこっち」を応援したくなってくる…
これって、SAD当事者に対する偏見をなくすこと、SAD応援アニメではなかろうか?
ただし、このアニメを見て、私の脳の「快中枢」は全く刺激されなかった。
やはり私の快中枢を刺激するには可愛いキャラを愛でるアニメでなくては…。
(きっとそのせいで本作のDVD/BD売れ行きが芳しくなかったんだよね…)
自分自身もSAD期があったような気もするし、クラスメートにそんな奴いたような気もする。職場にもコミュ障居たし。
職場のコミュ障は正直ちょっと面倒くさいと思っていたけど、明日からもう少し優しく接することができそう。
もし「もこっち」と同じような風景を今も見続けているのだとしたら、一番辛いのは本人だよね…。