ぜろろ さんの感想・評価
4.9
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
家族って
約2年ぶりに1期から続けて視聴。
なんらかの理由で視聴していない、もしくは合わないと思い視聴を断念した人も2期の10話まではなんとか見ることを強くおすすめします。
{netabare}この話はジャンルとしてはラブコメになるのでしょうがメインテーマは家族愛です。2期の途中まではこの要素は薄く主人公岡崎と渚の学園生活が描かれます。だからこそありきたりなラブコメだと感じて視聴を断念してしまう人も多いと思うのですが岡崎が学校を卒業してから話の質が大きく変わります。大切な人を守る苦労、社会に出て働くことの厳しさ、家族の暖かさそして難しさ、そんなことが中心に描かれます(コメディ要素も多かった学生時代とは対比的ですよね。もちろん学生時代が薄っぺらいとかそんなことはありませんが)。恋するっていいよね、ではなくて家族って愛おしいんだなと再認識させられるのがこの作品だとおもいます。
家族愛というのは恋愛と比べ多くの人にとって身近に感じるテーマだと思います。なぜなら多くの人にとって恋人がいない期間というのは存在しますが家族もしくはそれに近しい人がいない期間というのはほぼほぼ存在しないからです。もちろん家族と上手くいっている人ばかりではないでしょう。それでも家族には違いない。作中では岡崎が最後父親の思いを知ることで自分の父性を再認識します(汐のあの名言と汽車での岡崎の回想で号泣でした)。その後汐と一緒に父親のもとを訪れずっといがみ合っていた彼と和解するというシーンがあります。結局どんなにいがみ合っても家族は家族なんだと、心の傷を癒してくれるのは父親であったり、子供であったりと結局家族なんだと、家族という存在に対し希望を持てるストーリーになっていたかと思います。恋するというのはどうしても人間の汚い部分、ズルい部分もついてまわる感情です。対して愛するというのはもっと絶対的で美しい感情なのだと思います。だからこそ物語でそのテーマを真っ直ぐ描いたこの作品は多くの人の心に刺さったのだと思います(別に恋愛物の作品が劣っているといっているわけではないですよ。いきなり他人を愛せる人間なんてそうはいませんし、恋するというのも人間の大切な感情の一つです)。
家族愛というテーマを描くからこそ古河家のキャラクターもより魅力的に映りました。1期の学園竿での演劇のシーンはもちろん、岡崎を家族の一員として優しく迎えてくれシーン、秋生と岡崎の野球対決、そして悲劇の連続にも関わらず汐を5年間泣かずに育ててくれたりと古河夫妻は理想の家族像としてかなり印象的に描かれていました。ヒロイン渚の存在もかなり良かったです。恋愛物とは違い、渚は恋する女性というより主人公岡崎を支える存在としての描かれ方が強かったように感じます。一緒に卒業できず、自分も留年すれば良かったと言う岡崎に対して、足を止めるな、進める時は進めと言って背中を押し、自分はもう1年頑張って学校生活を送るようなヒロインなんです(しかも涙をほとんど見せず)。あれだけ女性キャラが多い中色恋沙汰のトラブルが一切起きないのもこのキャラクターならばと納得ができます(別の世界の話ではそういうトラブルも描かれてましたが渚は登場しませんでした)。もちろん声優陣の演技も素晴らしかったです(初視聴時に汐役のこおろぎさとみさんの演技を聴いて、初めて声優というのはとんでもない職業だなと私は感じました)。{/netabare}
大切な人をもっと大切にしたくなる、そんな気分にさせられる傑作だと思います。