岬ヶ丘 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
こんなリライフなら、自分もしたい
完結編の主人公は海崎ではなく、完全に日代だったと思う。日代はリライフ二年目のいわゆるリライフ留年生であり、コミュニケーション能力の欠如など人間的な問題は海崎より深刻だった。そんな彼女が海崎のことを異性として意識して、最終的に結ばれる過程はまさに彼女の成長譚だった。
一方の海崎はリライフ被験者ではあるが、もともと積極的で相手を思いやる気配りもできる青年。リライフ終了が近づき、クラスメイトから自分の記憶がなくなってしまうことの寂しさから、人付き合いに消極的になる場面もあったが、基本的には安定していた。結局作者が本当に描きたかったのは日代の成長であり、海崎視点で見るとこの完結編は少し違和感があったか。
物語の見どころは、被験者同士である海崎と日代の恋愛が成就するかどうかという点。ただリライフの成功=二人の恋の成就、と錯覚してしまうような部分もあり、いったい何のために高校生活をやり直しているのか釈然としない点もあった。恋愛を除けば学校行事を楽しんで、進学はできないものの形式上内部進学のために一応の勉強をして卒業する、これでリライフ成功と言えるのか?という疑問は残った。二人の一番の問題でもあった、リライフ終了後に被験者と被験者に関わった全ての人間の記憶が消されるという深刻な問題も、あまりに非現実的な設定ということもあり、切迫感やシリアスな展開として受けとめられなかった場面もあった。
最終的に海崎がリライフ研究所に就職し、大神の引きこもりの兄のもとに職員として会いに行くという展開は上手いと思った。恋愛面でも二人は記憶を取り戻し、ハッピーエンドというラストはよかった。たださすがに日代も海崎と同じ就職先という展開は無理な感じもあったが、大人に戻った二人が出会うためにはこういう形しかなかったのかな。まあわざわざリライフ成功例を自社社員として採用してしまっては、彼らのリライフが長い社員研修だったように感じ、本来のリライフの目的からずれている気もしたが。
設定に関しては突っ込みどころもあったが、過去に戻って人生をやり直したいという視聴者の欲求を叶えてくれる作品だった。全体的に設定は面白いし、人間描写もしっかりしている作品。ただ終盤になればなるほど設定のぼんやりした感じが気になって、物語に入っていけない部分もあった。完結編に関しては全四話でやや駆け足感もあったので、あと二話くらいはほしかったかな。とはいえ基本的にはいい話で、さくっと見れる良作だとは思う。
視聴日 18/5/5