ダレイオス さんの感想・評価
4.5
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
問題点はあるがとても作りこんでいてクオリティーの高いアニメだと思います。
設定は19世紀末のロンドンを舞台にしたものだけど国名は架空のもので
ロンドンには2つの国家があり分断されているので
ロンドンを舞台にした架空の分断国家ものて感じですね。
架空だけでなくて、不思議な石の存在があったり
ファンタジーの要素もある。
舞台のロンドンなんですが妙に霧がかった感じがロンドンらしさを
出していてクラシックな自動車が活躍するアクションシーンなどは
上手く19世紀末のロンドンであることを
説明しなくても演出していて物語がスタートして
世界観の描写はしっかりとしていることが伝わってきました。
映像で上手く見せることが出来ているので
視聴者に世界観の良さを認識させるには十分だったです。
その世界で国家のスパイである女の子の主人公達がスパイ活動をするものとなっている
出てくる男性は強面なキャラが多く、いかにもスパイものに出てきそうな感じですが
出てくる女の子キャラは重厚でしっかりとした世界観に反して
可愛らしいキャラが多かったですね。
キャラの顔の表情がゆるくて可愛らしい女の子が多くて
キャラクターデザインに関してはいかにも最近のアニメて感じです。
重厚でしっかりとした世界観で最近の可愛らしい女の子が登場するスパイものを
やるというのがコンセプトに見えました。
やっていることはスパイらしく、親切に行動していたように見えて
実は裏があったりとか、出てくるキャラも普通の人に見えていても
実は別の組織のスパイだったりなど色々な思惑持った組織の人間が暗躍する
スパイの世界を描いていましたね。
1話の開始からそう描かれていて、1話からきちんと1話完結型になっているので
1話が終わってみると、そういうスパイものだったのかと
しっかりと印象に残るので1話から楽しめることが出来ました。
その後も1話完結側のスパイものをやりながら
どういうキャラがいて、どういう世界なのかがわかってくる作りなので
ストーリーが進むにつれ、色々わかり段々続きが楽しみになりましたね。
そのキャラについては主人公側はわけありプリンセスだったり、声帯を改造された女の子だったり
ハニートラップを仕掛ける女の子だったり
個性が出ていたし、役割がしっかりしていてそのキャラの設定をいかしたストーリー作りにもなってるので
ストーリーを通して
キャラクター描写の良さは伝わってきて色々としっかり作りこんだ出来でした。
例えばプリンセスがなぜスリまがいなことが上手いのかとか
アンジェがなぜシャーロットをプリンセスと呼ぶかなどは意味がないわけではないので
そういった積み重ねでストーリーが進めば進むほどキャラの魅力は強まる。
世界観もスパイ活動をして潜入した場所は
19世紀の時代背景をよく考察して作られているなと感心させられる
場所の描写や労働環境から感じさせられる人々の生活感など
丁寧な世界観の描写は光る。
スパイものとしての出来は、前半は(放送順)各キャラ同士で駆け引きや取り引きなどが見られたリ
その攻防は結構捻った作りになっていて
相手を騙す展開でも馬鹿正直に相手が従うのではなくて
ある程度は疑ったり、探りを入れるなどの展開が描けていたので
単純になってないのでその攻防は楽しめました。
それだけでなく国家規模での話なので上層部の動きとかにも緊迫感があって
シリアスさを出していてスパイものとして楽しめる出来はありました。
ただ、中盤以降はキャラの魅力が強まる作りなのは楽しめるのだけど
ザル警備でスパイものとしての緊張感は段々薄れてましたね。
その点は頑張ってほしかったです。
スパイなのにみんなで目立つ団体行動したりスパイのすることじゃないなど
やってることはご都合主義だと言われたら反論は出来ないですね。
スパイものとしての面白さは前半までした。
アクションシーンは大味でしたね。
主人公側に不思議な石という便利アイテムを持っている女の子がいるのだけど
敵に対して圧倒的な優位にたってました。
それでも素早い動きや激しい動きを見せるカッコいいアクションは見せ場を作ることが出来ていたので
見せ場を作れているアクションのおかげで大味だが楽しめましたし
不思議な石による小刻みのジャンプは重力操作が出来るためか
本来なら絶壁な場所でも普通に歩けるのだけど、その軽やかさは
何とも言えない感覚を演出していたので、その演出は何度見ても印象的でした。
あとピンチになったりするシーンがないわけではないので
その時もアクションシーンの良さもあって緊張感は伝わりましたね。
劇中曲も奥深いです。毎回かかる奥深い劇中曲は物語を引き立てていて
アクションシーンでかかる曲は特に独特の雰囲気を出していて
感慨深いものがありました。個人的には音楽の点数を5にしたい
ぐらいの出来はあります。
あと時系列は無茶苦茶ですね。その理由は1話1話丸々シャッフルしている
作りでサブタイトル中の「case13」や「case1」や「case2」
が本来の時系列順に対応しているようですが
そのおかげで1話(本来は13話ぽい)で主人公達は仲が良くて知り合いだったのに
2話(本来は1話ぽい)では主人公達は知り合いではなくて仲が悪そうなんだ
などそういった視聴者の気を引かす興味が出る作りになっていたと思います。
全体的に作り手がそれを意識した部分もあると思うので
シャッフルしてたことを、いかした作りでした。
ただ、もろ刃の剣でストーリーの流れを感じさせる作りにはなっていないので
そういう、奇をてらいすぎの内容が嫌いな人には不評かもしれませんね。
個人的には興味が出るストーリー構成にはなっていたけど
普通に観てみたかった気持ちもあるので・・・
それに順番通りに観ても本来は2クールものぽいのに1クール分しかないので
抜けている1クールのせいで抜けているなと感じさせられるので
あるはずの部分が観れないジレンマは残念だなと思いました。
ストーリ-的には最後の方は無茶しすぎなので終わってみると
これで良かったのかな?とは思いました。
もうチョット何とかならないかな?という終わり方でしたね。
あまり言いたくはないけど、いい感じに風に終わらせていますが
実際は詰んでいる気がしました。逃げ道がないんじゃないかと思う。
作画については上で書きましたが世界観、アクション、可愛らしいキャラの見せ方
など、どれもハイレベルなクオリティーでした。
作画自体も非常に安定していて最後までダレないのも素晴らしかった。
普通は全部はそろわないのですが
全部そろっていたということは相当な作りこんだということがうかがえます。
声優さんについては各キャラの声質はとても合ってましたね。
ピッタリだったのは良かったです。
ただ演技力については良かったなと思える場面は多かったですが
ややぎこちなさがありその辺が気になりました。
しかしながら全体のクオリティーが高すぎるために
チョット気になった気もするので問題はないレベルだとは思います。
まとめると可愛らしいキャラが重厚でしっかりとした世界観でスパイもの
やるというのがコンセプトにしていて
それをやるためのキャラを可愛く見せる作画クオリティーの高さや
時代背景をよく考察して作られている世界観の表現の素晴らしさ
スパイものをやるためのアクションシーンの素晴らしさや
前半はスパイものとしてのストーリー展開の面白さも兼ね備えていたので
作り手はそれをやるだけの力量がありました。
さらにそれだけでなく
ストーリーが進めば進むほどキャラのことがよくわかり
キャラクターの魅力が強まる作りで
主人公側の各キャラの役割もしっかりしているので
最後までキャラの魅力は伝わってきました。
劇中曲もとても奥深くとても良かった。
問題点は時系列がシャッフルしていて人によっては無茶苦茶な
構成になっていると感じるだろうな・・・と
抜けている1クールがジレンマな点と
中盤以降のザル警備や便利アイテムで優位に立つのが目立ちスパイものとしての質が落ちる点と
最後がな・・・の点で物語の点数は高くしづらい所ですね。
それでも作りこんでいてクオリティーの高いアニメだと思います。