ぺー さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
結論:少佐が足を引っ張っている
2018.04.30記
原作未読
2018年冬クールから深夜アニメのリアルタイム視聴を始めたアニメ初心者の私。視聴本数は少ないもののこのクール放映モノのTOP3に入る良作でした。
ただ、全話視聴後の感想は他の方のレビューにもあるように私もなんか釈然としない印象、期待値高くしすぎたのかしら?
物語はヴァイオレットの成長に焦点を当て各話オムニバスで進行させてくもの。
全13話をパッケージとしてみた場合に、個別のエピソードは良いもののまとめきれてなかったとみると消化不良と感じると思います。一方で、各話毎のエピソード単体では良く出来ているのでそこをプラスに捉える意見もあるかと思います。私は前者のほうでした。
ここらへんは好みでしょう。作画は素晴らしく、声優の演技もキャラ設定も水準以上です。ツッコミを受けてるED曲も作品の世界観に合った良曲で私は気になりませんでした。
うーんなんでしょうね。
美味いのに前菜/メイン/デザートとコースだと粗が見えるというか。
一番バッター、送る人、クリーンナップと超強力なのにサインプレーができてないというか。
京アニ大賞受賞の今期大本命と期待し過ぎた部分を差し引いても、酷評するような駄作では全然なくて、良作であることには変わらないと思います。観て損はないでしょう。
不幸な生い立ちであるがゆえにおそらく戦場でしか存在できなかった少女。背負った業とともに、失った(もしくは知らなかった)「愛してる」を探す旅。人の想いや繋がりが心に沁みます。
★以下ネタバレなのでまだ観てない人はご遠慮くださいな★
各話のひっかかったところ
{netabare}
■3話
ルクリア「ほんとに手紙を書きたい相手はその少佐って人ではないの?」
→ルクリア、グッジョブ!
■4話
紫「価値のある何かが存在すると、事件や略奪がおこります」
→経験者の発言は重い
紫「この景色はたいしたもてなしというのにふさわしい気がします」
→さりげなく感情の芽生えの描写が出てくるのが本作前半の良いところ
※3話でルクリアから兄へ、4話でアイリスから両親へと手紙を送ることを提案したのは、ヴァイオレットだということの意味するところは大きい。当の本人たちがためらう中で、伝えるべきことを伝えるべき人へ、を理解している
■5話
紫「申し訳ございません。孤児な故に自分の正しい年齢が分かりません」
→と言った後の相手の申し訳なさそうな反応
※4話と5話の知らない間にドールとして急成長を遂げましたが、冒頭で「何か月も仕事をこなしてきたし」的なこと言ってましたね。
紫「あなたが手紙を書いてください。あなた自身の言葉で」
→やっぱり、事態を動かすのはヴァイオレット。良い仕事してます。
■6話
紫「私はそのような素晴らしい仕事にふさわしいのでしょうか?」
→5話最後の大佐の投げたボールから物語が転機を迎えたぞ、の流れを受けてヴァイオレットの葛藤が始まる。いい流れ
■7話
紫「越えられるのですね。良かったです」
→表情に動きが出てきました。ヴァィオレットの描写、1話毎徐々にでも確実に変化をつけてきてるのは製作側の丁寧な仕事ですね。
※ラストの引きも次が気になるしかけ。
■8話&9話
※1話と繋がる回。
爺さん「届かなくていい手紙なんてないんだ」
→後の回でヴァイオレットが繰り返すことになる名フレーズ
※葛藤の末、一歩踏み出したヴァイオレットのブーツのカット。これまでの各話が繋がるエンドロール。9話のエンディングは秀逸。
{/netabare}
神作画
{netabare}全体綺麗なんですが特に好き
■1話 冒頭での風に飛ばされる手紙をワンカットで描いたところ
■7話 湖を渡るシーン
■11話 落下傘降下と着地後の緩急
航空戦がないので、第一次大戦近辺の時代感だと思いますが、背景含めて惹き込まれる設定でした。{/netabare}
結局もやっとしたところって
{netabare}
帰還兵が感情を取り戻す過程とその先にある結末の筋が通っているかどうかを見たかったのにそこが不透明だったんだと思います。
なんで小さい子が感情のない戦闘マシーンになったか?が描かれてない。
ギルベルトの「愛してる」に至るまでの過程がよくわからない。年離れているし不幸な生い立ちの娘への同情を感じるけどそれ以上のってあったかな?
ギルベルト兄のヴァイオレットへの嫌悪っぷりも不明。ヴァイオレットのせいで弟が死んだと思い込んでるんだろうが、視聴者の想像で補うしかなさそう。しかも戦勝国の大佐クラスの将校のくせに電車戦での作戦指揮がへぼい(オマケ)。ヴァイオレットから情報もらってるのに。
おそらく10話以降の描き方に原因があるんでしょう。
総括みたいな作りの8話と9話の一連でピークを迎え、次の10話で届かせなければならない手紙を、11話で本来届くはずのなかった手紙を届け、これまで以上に感情を発露させるヴァイオレットを描くことは意味があったものの、
4話から7話までの形を少し変えての焼き直しをはかったように見えて、9話までの流れを活かしきれてない。反乱軍のボスの独白とかいいパートもあったのに。
{/netabare}
あー、でもでもこれだけネガティブなこと書いてても、結局のところヴァイオレットの幸せを願ってやまないのは確かです。次回作もやるそうですがきっと観ます。
視聴時期:2018年1月~3月 リアタイ視聴
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2018.10.18
《配点を修正》+0.1
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2019.10.07追記
初稿で「きっと観るよ」と触れた次回作は劇場版の外伝でした。
軍人設定への落とし前のつけ方にもやっとしたTV版の印象は変わりません。親交のあるレビュアーさんからの「軍人設定いらなくね?」の意見も首肯するものではあります。で、再視聴してみました。
この物語は、登場人物のセリフや冒頭では
「愛してる」の意味を知りたい
が前面に出ていました。愛を知らないのは戦闘マシーンだったからが理由。
その横で、一話完結型で繰り返し描かれていたのはもう一つのテーマ
届かなくてよい手紙なんてない
です。想いは届けなければいけない。
…人と人とを繋げる職業人としての矜持だったり、想いが届くことの尊さを訴えるものでした。
演出としては後者が前面に出ているのです。
二分されたベクトルが融合して一つになったか?
つまり、
『手紙に託された想いを通してヴァイオレットは愛を知ったか?』
がしっくりこれば爆上げだったのでしょう。
外伝は後者に全重心を置いたことでとても分かり易い感動作になってました。本作をご覧になられた方は是非続編も観て頂けたらいいなあと思います。
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2020.03.20追記
そういえばあにこれ歴代2位とのこと(注※追記当時。2021年8月では4位)。
「2位は出来過ぎ」「評価され過ぎ」とその思いも自分にもなくはないですが、そうはいってもたかがいちアニメサイトのランキングでしょう。
別に何書こうが自由ですが捨てアカでの1点or5点一行レビューに品というものを感じません。
新しいほど加点要素ありな評価形式みたいなので年次が古くなるにつれ相対的順位は落ちてくるんだろうくらい想像できませんか?ランキングは、
参考にするならまだしも奴隷になっちゃダメでしょう
本当の意味で理解してますか?
信用を置けないとあなたが感じるなら代替物を探すかそれとも対象となるものの仕組みを変えるか。仕組みを変えようとするならその方法は妥当か。ということになるんでしょうがどちらも誤りです。
情報のひとつ
それ以上でも以下でもないでしょうに。
新ランキングけしからん論を本アカウントで展開されてる方のご意見は尊重してます。考え方に違いはあるかもしれませんがそこは他人同士。当たり前でしょう。
あくまで低評価つけるためにアカウント取得して投稿している方についての批判です。
個人的には作品自体をどう思うか?だけ知りたいです。
ランキング順位と比較してどうか?は…うーんって感じですねぇ。
2018.04.30 初稿
2018.10.18 配点修正
2019.10.07 追記
2020.03.20 追記
2021.08.09 タイトル修正