ニャラ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
人類存続のための諸説
合理化・効率化の果てにあるもの…それは全ての変化が止まった、「熱力学的な死」の世界。
この作品のテーマは、人類がその発展の末に「死」へ辿りつく未来です。
既に末期状態にある世界の住人・吉井は、かつての流刑地である地下へ降りていき、そこで武力を持つ徒党を扇動して殺し合いを誘発させます。
彼は、人間それぞれが自身のために戦うことこそが、生きることであり人類の変化にあたると考えました。
また、流刑地を治める特権階級の科学者・ドクは、彼女なりの未来を画策していました。
彼女は、人体と機械を融合させるテクノライズに、行き詰った人類の新たな発展の道を見出していたのです。
主人公・櫟士は物語が進むにつれ、この2つの生き方を帯びることになります。
しかしその彼さえも、合理性を象徴する大西へ迎合していくところが、彼が人類の行く末を体現するものである謂れです。
物語の最後、特権階級の中でも支配的立場にある伽丿は、人類の頭部以外全てをテクノライズすることで新たな種族(≒植物)へ進化させようとしました。
しかし植物のようなものと化してまで生きる人類は、果たして存続していると言えるのでしょうか。
櫟士の最後が、決してそうでないことを物語っています。
この作品は、lainと同様に難解です。
しかし、ストーリーの大筋が任侠ものとしてまとめられているあたり、lainと比べて随分と見やすくなったのではと思います。