アトランティス さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
公開恋文やってみたい。 (原作既読)
と一般人が言っていますが……。
放送開始前から長い事期待をして待っていた京アニの新作。
PVから飛び出す光の世界は、アニメを見ない友人にも勧めたいほど
魅力の詰まった宝石箱でした。
ストーリーは
孤児で軍人に拾われたヴァイオレットが戦争でその軍人と死別し、
戦後、紆余曲折あり代筆屋に転身、その軍人(ギルベルト少佐)の
くれた最期の言葉「愛してる」の意味を手紙の代筆を通して考え理解していくという内容です。
もう見るからに感動的な内容ですね。
ヴァイオレットは感情についての知識?はあるが
その様々な感情(苦しみ、悲しみ、恋)を自分の身で味わった経験が
乏しい……といった感じのヒロイン。
アニメは1話、2話、3話と短編のような話が続く内容ですが
少しづつヴァイオレットが人間味(といっても人間だが)
を帯びてくるのが見ていて分かる内容になっていました。
星の観測天文台の1話で最後のシーンに微笑んだヴァイオレットだったり
戦争で帰れなかった息子の親に最期のメッセージを伝えるシーンだったり
3話のルクリアとの出会いの頃のヴァイオレットが懐かしい…
と思える程の変化っぷりに、ちせを買ったエリアスもびっくりではないでしょうか。
そのヴァイオレットを育てたギルベルト少佐ですが
彼は死ぬ直前のシーンばかりが流されて、なぜヴァイオレットが
そこまで彼を思うのか、二人の関係の核心に迫るシーンがあまり
描かれていません。
そこで二人の関係についてさらに詳しく知りたい方は
ぜひヴァイオレットエヴァーガーデンの原作を一読することをお勧めします。
少しネタバレですが、二人が出会ったころは
ギルベルトが「殺せ」を言っただけでフレンドリーファイアも何とも思わないヴァイオレットで。危うく彼女が今後働くことになる郵便会社が存在していなかった可能性がありました。囚人をヴァイオレットと戦わせてその残虐なヴァイオレットを眺める軍人達によるショーや、戦地で全身銃で撃たれ、それでも、這いつくばってでも少佐をおぶって腕が引きちぎれてしまう残酷なシーンもヴァイオレットが自分の事を少佐の道具だと、戦うだけの兵器だと自分を肯定するに至る原因となるシーンは原作でしか味わえないと思います。
この原作の順序を並べ替え、そして少佐に関する設定を大改編してまで
少佐を想い続けるヴァイオレットを感動的な形で描いてくれた京アニには
感謝したいです。素晴らしい小説と、作画のアニメに出会えたのですから。
最終話の手紙を飛ばす行事はその詳細が語られてなかったと思いますが
とても素敵なイベントだと言う事を原作で知ったので
ぜひあれも新作に大々的な加えて欲しいなぁと思います(^_^
ーおまけー
数々の代筆エヴァーガーデンの短編の中でも自分は一番
シャルロッテとダミアン王子の恋文のお話がお気に入りです。
公開恋文が西洋で実際に行われていたのか、調べてはいませんが
それをする当人も、それを読んで妄想に酔いしれる民衆も
どちらでも良いので当人としてその気分を味わってみたいなぁと
思いました。笑
~公開恋文の一部~
{netabare}ダミアン・バルドゥールフリューゲル様。
わたくしがそのお名前を言葉にするだけでも、こうして文字として表すだけでも……心が震えると言ったら貴方はどう思われるでしょうか。
わたくしはこの花の都からあらゆる事柄に貴方を結びつけて溜息を漏らす毎日なのです。
例えばそれは夜空に浮かぶ月を見上げた時。
わたくしは欠けた月をひらりと舞い落ちる花弁のようだと思います。そして次にこう考えるのです。貴方は同じものを見て何を思うのかしら、と。
猫の爪、それとも光り輝く曲刀。やはり月は月かしら。
わたくしはきっと貴方がどんな答えを教えて下さろうと、それを素敵だと感じるでしょうし微笑みを浮かべてしまうでしょう。
星が綺麗に浮かぶ漆黒の夜。月下の宮殿で貴方はわたくしのことを思われる日はありますか?
いいえ、月の下でなくても構いません。
朝露が光る明けの空の下でも、澄み切った碧に心奪われる川辺でも、立ち止まることさえ許されぬ雑踏の中でも、わたくしが貴方を思うように、貴方もわたくしを思う日はありますか?
ダミアン・バルドゥール・ブリューゲル様。
貴方にとって、わたくしはどんな時に思い浮かべる者なのでしょう。
わたくしは白椿の花を愛でながら、いつも貴方のことを考えています。{/netabare}
↑『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝/暁佳奈 p16』より