えりりん908 さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 1.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ヒューマニズムと残虐性の狭間で
以前に一度は視聴断念していた作品です。
それを敢えて、今回視聴してみて、
{netabare}残虐描写については、問題ないな、と。
むしろ、主人公であるいぬやしきさんと、そのライバルとなる獅子神君の対比が、構造的に面白いようで、実は「正義」の物指しは、ほんのちょっとの匙加減なのかも知れない。そんな風に思わせられた作品でした。
ラッキースケベといえばラブコメのお約束ですけど、
この作品では「ラッキー交通事故」に、
いぬやしきさんと獅子神君が遭遇してしまいます。
宇宙人の操縦する宇宙船だか何かに撥ねられてしまって、
その宇宙人が、二人を宇宙の未来器具で修繕?治療してサイボーグに!
いぬやしきさんは、おかげで癌も腰痛も老眼も完治。
そして二人揃って、超ハイスペックなサイボーグ化ww
ここからの二人の生き様の違いが、
人間を性善説でとらえるか性悪説でとらえるかという対比のようでいて、
実は二人の正義観の物指しが違うだけなのが、面白いと感じました。
いぬやしきさんは、サイボーグ化そのものに悲嘆します。
超人化できたことには、何の喜びも感じていなくて、
「人間でなくなってしまった」と嘆くばかり。
自分の超人的能力で人助けが出来ると知って、少し心の安静は取り戻せるけど、あくまで非戦主義・平和主義の人なんですね。
一方の獅子神君、自分の能力を把握するや否や、知らない他人にはとことん無慈悲に殺したり事故を起こさせたり。
対極的?
でもホントは違うと、思っています。
正義観の出発点が別物なんです。
獅子神君は、マスコミの暴走やネット住人の悪意に真っ当に怒りをぶつけていて、これって結局、いぬやしきさんが暴力団や不良少年たちを制裁するのと、殺すか殺さないかだけの違いでしかないと、そう見えてしまいます。
獅子神君の暴走は残酷なのは間違いないけど、
それも悲しい勘違いのせいなんだろうなと理解できます。
そして、この二人のバトルがダイナミックで綺麗で。
どこに着地するのか、まるでわからない感じだったのが、
最後は二人して協力して地球を救う、というのは、
ちょっとお約束過ぎかな?とは思うけど、
他に解決策もないだろうし、
{/netabare}きれいにまとまっていて、みごたえある作品だと感じました。