Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「あなたには、どうしても殺したい人がいます。どうやって人を殺しますか。」
2018年冬アニメはラーメン系の作品が多いなぁ…
この作品しかり、ラーメン大好き小泉さんしかり…
と、物語を実際に視聴するまでこんなことを考えていました。
ですが、実際に視聴していみると、グルメ作品とは180度方向性の違う作品でしたね…
原作は未読ですが、第20回電撃小説大賞にて大賞を受賞した作品のようです。
博多を舞台に殺し屋たちの活躍が描かれているのですが、私たち一般市民にとっては近いようで遠い存在なんですよね。
殺し屋の暗躍する裏社会…きっと実際に存在はするのだと思います。
でも、あまりに現実味が無くて…
だからと言って、ファンタジーの様な空想の中の物語では無くて…
この作品を見て思ったのは、凄腕の殺し屋になればなるほど、一部例外もいましたが基本的に身なりでは判断できない、という事です。
でも表社会の生存競争も厳しさを増す一途ですが、裏社会もそこは変わらないんですね。
変わらない…というより一部の心ない人たちが私利私欲のために敢えて事を難しくしている状況をこの物語で目の当たりにしました。
真面目に生きていれば決して踏み入れる事の無い領域…を描いていて、その社会の掟やルールを私が知らないから、そう思うのかもしれません。
例えそうだとしても、理不尽さが胸を痛めるんです…
この物語の主人公的立ち位置の林 憲明(リン シェンミン)
貧しい家に生まれた彼は何を選択しましたか…?
その選択は間違っていましたか…?
彼は何も間違っていないと思います。
だって、大切な家族を守りたかったから…
こうしなければ、きっと家族を守れなかったから…
そんな幼気な子供に社会はどんな手を指し伸ばしましたか…?
きっと彼がもう少し大人だったら、選択肢も変わったのかもしれません。
ですが、周りの大人たちが彼に仕込んだのは…人の殺し方だったんです。
しかも、彼が劣化の如く怒り狂うツボを周りの大人たちは知っていて…
その反応を見て楽しむんです…
その顛末を見て彼が復習を誓わない訳がありません。
これまでだったら怒りに身を任せて単身で敵地に乗り込んでいったでしょう…
きっとこれまでとの違いはたった一つ…
それは博多の街が彼に優しかったこと…
その優しさが彼を留まらせると同時に、結果的に選択肢を増やすことになった。
博多での出会いが無ければ…彼の人生も大きく変わっていたことでしょう。
でもそれって、生きていれば誰にだって可能性のある出来事だと思いますし、いま、そこにいる現状がその可能性の賜物だと言えると思うんです。
私たちが生きる上でしてきたこと…
色々ありますが、一番大きなことは「選択すること」
進学、就職、結婚やマイホームなど、私たちは常に選択し続けてきました。
今の自分はこれまで選択してきた結果の集大成でしかないんです。
それは彼にとっても同じこと…
そう考えると、人との出会いってホントに大切なんですね。
殺し屋同士の抗争から、どうして人との出会いの大切さに、思考がぶっ飛んだかは良く分かりません。
でも、例えどんなに掟の無いような裏社会でも信頼という言葉が現役であること…
そしてその言葉は、自分の居場所に関わらず人の心を温かくしてくれるカンフル剤たり得ること…
理不尽に抗い続ける彼ら博多豚骨ラーメンズの面々の活躍…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、岸田教団&THE明星ロケッツさんの「ストレイ」
エンディングテーマは、TRI4THさんの「DIRTY BULLET」
岸田教団&THE明星ロケッツさんのオープニングソング…痺れるくらい格好良いんですけど…
もうストブラからの大ファンですよ。
TRI4THさんのジャズも負けず劣らず格好良かったです。
1クール12話の物語でした。
物語自体は殺伐としていますが、博多の街の優しさがコクとまろやかさとなり、結果的に絶妙な一杯のラーメンに仕上がったのではないでしょうか。
それにやっぱり…博多と言えば豚骨ですよね。
こういう系統の作品が嫌いな方じゃなければ、スープまでキッチリ堪能できる一杯だと思います。