「リズと青い鳥(アニメ映画)」

総合得点
86.0
感想・評価
572
棚に入れた
2372
ランキング
217
★★★★★ 4.1 (572)
物語
4.0
作画
4.3
声優
4.0
音楽
4.2
キャラ
4.1

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ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

このうえなく繊細な感情のネイロ

時系列的にはテレビアニメ「響け!ユーフォニアム2」の続編の位置ですが、北宇治高校吹奏楽部の黄前久美子達の2年生としての活動を描く本編までのインターバルを埋めるスピンオフ的作品と言える様です。

タイトル「リズと青い鳥」は、久美子達が挑む高校2度目のコンクールの自由曲{netabare}(作中の童話場面の劇伴曲ですよね?){/netabare}であり、重要なパートがオーボエとフルートが掛け合うソロ。
そのソロ演奏を担うのが、本作の主人公達、テレビドラマの中でひと悶着のあった「鎧塚みぞれ」と「傘木希美」。

曲の由来となった童話の主人公にみぞれと希美をなぞらえながら物語は進行していきます。

主にみぞれの内面にスポットをあて、テレビドラマの1期で、心の声をつい口に出す久美子の劇的な成長に対比する様に、思った事を言えない内向的なみぞれの、一途でデリケートな心の変化を慎重に追いかけつつ、テレビ放映では見えなかった希美の意外な一面も表れ、不穏な雲行きにハラハラさせられます。

制作スタッフは、京都アニメーションのヒット映画「聲の形」のメンバーで固められ、演出を含めた作品全体の雰囲気は、テレビ版「ユーフォ」より「聲の形」に近い。

シンプルで感情の感覚を刺激しやすい音響効果と、澄み渡る背景の中、細い線で描かれるキャラクター達は、か細く儚げで、存在が簡単に消えてしまいそうな不安な気持ちを掻き立てます。

山田監督ならではの繊細でしとやかな演出は、口数の少ないみぞれの想いを仕草や視線だけで観客に伝えてきて、片時も目が離せず息苦しさを覚えるほどです。

しかしながら本作はやっぱり「ユーフォ」!
クライマックスで鳥肌ものの演奏シーンが待っています♪

劇中と観客が一体になってハイテンションになれる音楽の醍醐味が、今シリーズの魅力の一つであり、今作もしっかりポイントを押さえてました。{netabare}(あの演奏の直後、喝采の部員達と同様のセリフを心で叫んでました♪){/netabare}

その演奏を経て2人がどうなるのか・・・
観てのお楽しみです~(^^


総じての個人的感想は、作画は淡白な印象で京アニの力を出しきっているとは思えず、ストーリーも作品世界の一部を切り取った物であり、テレビ版時ほどの高揚感や到達感は得られませんでした。
しかし、リアルな感情の呼吸が伝わる、山田監督のこだわりぬいた繊細な演出は、最後まで興味深く鑑賞でき、本編への期待をつなぐには十二分な出来でした。

今作での2人のやり取りを経て、コンクールでどんな結果に繋がるのか俄然興味が増します。

主人公達の脇で同じ新3年生の吉川部長、中川副部長が今作のサブキャラとして、変わらね掛け合いを演じてくれており、従来のユーフォらしさを感じつつ、彼女達の最後のコンクールへの奮闘も観たくなりました!

声優さんに関しては、言っても詮無い事ですが、童話部分で本田望結ちゃんに2役もやらすのは無理があったのでは・・演じ分けが出来きれてない様に感じました~
{netabare}(でもよくよく考えると、みぞれと希美、どちらがリズでどちらが青い鳥なのか認識が変わるストーリーと照らすと、どちらでもとれる様、監督の狙った演技指導なのかもしれません・・){/netabare}

キャラの中では、新1年生の鎧・・剣崎さんがいい子でした~次作で剣・・鎧塚先輩との絡みをモット観たい~(^^
反対に希美の一面にゾクッとも・・{netabare}(演奏での悔しさからか、あんなに切実なみぞれに「覚えてない」なんてシレっと嘘をつくあたり、将来、男を手玉に取るな・・){/netabare}

残念ながら本作ではほとんど出番がない元1年生の仲良しカルテットですが、1名だけ主人公に要所で絡んできて、その「らしさ」にニヤリと出来ますのでお楽しみに♪

投稿 : 2018/04/22
閲覧 : 471
サンキュー:

45

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