野菜炒め帝国950円 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ありのまま起こったことを話すぜ ホラーアニメ見てると思ってたらいつの間にかギャグアニメを見ていた
なにを言ってるかわからねーと思うが俺にも分からねー。
世界の巨匠伊藤潤二氏のホラーコレクション集。
ホラーとは書いたが厳密に言えばホラーっぽい何かだと思う。
その何かが高度なギャグであることに気付くのに少々の時間を要するのだがそれはまた後ほど。
少なくともホラーと聞いて期待されるであろう恐怖感とかそういうのとは少しばかり縁遠い。
ただ雰囲気は妙におどろおどろしく悪く言えば気持ち悪い。
伊藤氏の絵柄は本来もっと気味が悪いと思うんだがこのアニメに関しては少しばかりそういうのが緩和されてる印象を受ける。
もっと忠実に気味悪く出来たはずである。
ともあれその抜群の気味の悪さ故にどうしてもホラー的ななにかを期待させてしまうんだがどういうわけかアニメで見ると絵柄 演技 見せ方 そのすべてが我々を恐怖より笑いに誘(いざな)ってしまうのだ。
シュールな笑いていうのかね こういうの。
怖いと思った回数より笑った回数のが間違いなく多いと思う。
そういう意味では下手な狙ったギャグアニメより笑えたぶん秀逸なギャグアニメであるとも言える。
笑わせようとする意図は無いのだと思うのだがそういうのに限って笑えてしまう。
そんな経験おそらく誰もがあることだろう。
繰り返すが雰囲気は実に素晴らしいのだ。
だからこそなんだかんだでラストが気になり見入ってしまう。
だが困ったことに物語のオチがよく分からん回もちらほら存在する。
例えばある不気味な存在がいたとしてソレがいったいなんであるのかとかいう説明が放棄されてるため不気味な話ではあったが結局なんだったんだ?て感じになってしまう回も少なくは無い。
知ってる人がどれだけいるかは知らないがホラー短編集「新耳袋」とかもそんな感じだった。
タイプ的には似たようなもんだろう。
そういう細かいとこを気にしたらダメなのかもしれないが気になるんだから仕方ない。
なんともすっきりしないこの気持ちをどうしろと言うのだろうか。
尚、オチの無い回の多い作品ではあるがたまに当たり回が紛れてるのがまた心憎い。
宝クジに当たるよりはるかに当たり回の確率は高いぶん随分良心的である。
不気味というだけでなくどこかシンミリとさせてくれるような秀逸な回も存在する。
個人的なお勧めだが「緩やかな別れ」と「案山子(かかし)」のラストは中々印象に残るものだった。
あんざんことか読んじゃうお茶目な人もいたらアレなんで念のため。
絵柄のせいなのかこれまた余り人気の無い作品のようだが回の出来自体は確かにピンキリではあるが惹き込まれるモノがあるのも確かであり間違いなく見て損はないであろう。
いや多分。
絵柄で敬遠するという行為はそれだけで人生の0.何%かは損していると言える。
絵柄が最優先されるのは薄い本だけで充分なのだと私は思う。