明日は明日の風 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
紺の龍の腹に乗って…豪華スタッフが描く大人のおとぎ話
【1話を見て】
なんてぶっ飛んだ設定でしょうか。
溜め込みそうになると炸裂して暴言も吐いてしまうちょいとネジが不思議な方向に刺さっている主人公のひそね。{netabare}航空自衛隊の事務勤めのはずが、ひょんなことから航空自衛隊の機密ともいうべき戦闘機(?)ドラゴンに見初められ、なぜかパイロットになってしまう{/netabare}という物語。
製作スタッフがかなり豪華。岡田マリー脚本と構成だけど、1話を見る限りは暗くはならなそう。なにしろ、マリー独特のひねくれは主人公に投影しているようだし、物語はひねくらないような気がします。気が…。
キャラデザイン、作画はけっこう独特。まるで昭和作品みたいな懐かしさも覚える感じですが、みだれるということはないようで、とても親しみやすいと言っておきます。
1話見た感想は「これ、相当面白いんではなかろうか」というところ。設定そのものもだけど、ひそねとまそたんの関係、ひそねと仲間たち、ドラゴンの秘密、そして展開。どこから見ても楽しめそう。あとはマリーの脚本次第かと。
【8話まで】
面白い、本当に面白い。
ここから本筋に入るというところなんですが、7話までで一見無駄に見えてしまう人物、人物像やシーンの大半が伏線として生きており、無駄がありません。OPも中盤から曲調が重くなるという、先を暗示している感じです。
作りが本当に上手。マリーの構成というより、スタッフがいろいろ考案したものをマリーがまとめている、そんな気がしてなりません。マリーが描いているのはDパイの性格と動き。それと相関関係。だって、この子達のひねくれて、なにか落ちてしまっている性格はマリーのものだと思うし。相関関係も一筋縄ではいかなそうなところもマリーっぽい。スタッフ優秀だと思う。
ひそねという主人公の成長もあるのですが、この子にはもっと大きな存在理由があるように感じます。たぶん、見流しているシーンにもこれが隠されているのではないか、そんな気がしてもう一度最初から見直してみようかと思っています。それと、名緒。必ず5人で動いているし、なにか重要な役割が後にあるからこそ、サブヒロインの位置にいるのだろうし。これで今の立場のままだったら逆に新鮮すぎる。
今後の展開に目が話せない作品になりました。
【視聴を終えて】
後半に入って、緊張感とギャグが入り混じり、毎週楽しみで仕方がなかったです。
この作品で一番成長したのはひそねでしょうね。番組冒頭とは別人になったというくらい、しっかりした(のか?)自衛官になったという感じです。まそたんとの信頼関係の築き方も、見事な話の持って行き方でした。
展開は読めていましたが、 {netabare} ひそねがあっさりと自衛隊を辞めると宣言したときはさすがに驚きましたが。復帰するときのシーンがたまらなく好きです。雨中の中、スライディング土下座という荒業。おかしいんだけどなぜか泣けました。{/netabare}ラストのシーンも良かったです。
豪華スタッフが作った作品、話が喧嘩するんじゃないかと心配しましたが、見事に融合したいい作品になったと思います。マリーにしちゃ欝も弱めだし、これこそノイタミナでやったらよかったのにと思いました。
癖になる絵柄とアイキャッチ、エンディング。壮大で、途中から不穏になるオープニング。中の人はみなすばらしい。くぎゅうのツンデレでないマジ怒り聴けたのは貴重。あの新井さんにも負けてない久野さんのうざったい声。久野さん、ライオンのモモ、今期はロストソングのアルもやってましたし、本当に癖が強い声優さんです。
お仕事ものでありながら青春語りとも言えるし、ファンタジーも詰め込んだ、大人の御伽噺とでも言っておきたい、本当に好きな作品になりました。