ワドルディ隊員 さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
自然とお胸やお尻に目が向きやすい
この作品は、サイバーパンク要素をベースに
作られたフルCGアニメである。
脚本を担当した虚淵氏の作品の中でも、難解な台詞回しが多く
専門用語も豊富なため、視聴する前に専門用語を事前に踏まえた上で
挑戦すると理解がしやすいと思われる。
大まかなあらすじとしてはこんな感じ。
人類が“ディーヴァ”と呼ばれる電脳世界で生きる者と
地上で暮らす者に分かれた西暦2400年が舞台。
主人公であるアンジェラ・バルザックは、“ディーヴァ”の
保安局システム保安員。海辺でナンパされている時
“ディーヴァ”の電脳空間が何者かによって、ハッキングされてしまった。
今までの経験を駆使し、犯人を追跡するが、あともう一歩のところで
取り逃がしてしまう。アンジェラは、追跡場所を地上に限定し、
そこから犯人を捜すことに決める。その際、外見を16才の少女に
変更。砂漠に降り立ったアンジェラは、苦言を吐きつつ
地上で待機しているはずの調査員を探すが、彼はまだ来ていないようだ。
遠くを見渡し、状況確認をすると、砂漠の化け物サンドワームの集団に
追われている地上調査員ディンゴがバギーに乗ってやってきた。
全体を通した感想としては、シンプルかつ王道で明るい
作風のアニメであった。視聴する前は、結構暗い感じの作品
なのかなと不安に思っていたが、それは杞憂だったようだ。
比較的テンポよく進むのでだれにくいのも大きなポイント。
また、フルCGもレベルが高いと感じる。アンジェラの件は
勿論のこと、ロボットを駆使した戦闘シーンは中々見ごたえがある。
劇場で見てはいないが、引き込まれた。劇場であれば確実に臨場感を
味わえただろう。
調査員のディンゴやフロンティアセッターのキャラは良かった
様に思う。ディンゴは、見た目はチャラそうに見えるが
かなりの切れ者であり、戦闘においても活躍する非常に優秀な
支援者だ。アンジェラを気遣ったり、フロンティアセッターと
分け隔てなく接する等とても人間味あふれる姿には胸を打たれた。
特に印象に残っているのは、ディンゴがアンジェラに対し
ディーヴァの自由における問題点を指摘したシーン。
思ったよりも風刺が効いており、考えさせられた。
フロンティアセッターは、ロボットの姿をしつつも中身は
人間ではないかと錯覚してしまうほどの素晴らしい人工知能だ。
悪意は微塵も感じられず、リスクを承知の上で行動するなど、
人類愛にあふれているキャラクターである。要は一番の良心。
技術力が抜きんでており、終盤においてとても心強い
サポート役として活躍する。
暗黒面に堕ちなかったのが、奇跡だと言われても仕方ないレベル。
気になった点もいくつかある。
要は、余りにもシンプルすぎる故物足りないのだ。
アンジェラのお胸やお尻の方に力を入れすぎたのが災いして、
アンジェラについて深く掘り下げていないのが浮き彫りとなっている。
一応、他のディーヴァ人や捜査官も登場するのだが、余りにも
出番がなさすぎる。彼らとの葛藤が一切ないので感情移入がしにくい。
アンジェラを追放するシーンがあるのだが、思ったよりもしょぼかった。
森の中で体育座りかよ!道理でフロンティアセッターに物の数秒で
トリックを見破られるわけだ。やはり、ディーヴァの管理システムには
重大な欠陥があるようだ。
終盤の戦闘シーンは良かったのだが、敵機の数に間違いがあるような。
ロケットが打ち上げられて以降、だれもアンジェラたちを攻撃
しようとしない。なぜなのか。戦意喪失するの早すぎでは?
みんなただ見守るだけで終わってしまった。もしかして、
フロンティアセッターの存在そのものを、ディーヴァが認識すること自体
止めてしまったのだろうか。それなら納得だ。
挙句の果てには、終盤において急にディンゴが歌いだすのだ。
キャラクターに歌わせずに、そのまま映像を流せば余韻に
浸りやすかったのに…。これは声優に渡された台本が良くなかった
のが原因だと考えられる。
ここ最近のSFアニメ映画の入門としてはオススメしやすい
部類の作品だと考えている。只、捻りがないので
内容重視の人は見なくても大丈夫だろう。
個人的には良作だと思う。