Progress さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
一生会えないくらいじゃないと
月間少女野崎君の「制作チーム」が関わっているということですが、
1話ごとの作品の満足度でも、最終話までみても、
その売り文句に足りたでしょうか。
作品の全体構成としては
序盤中盤はテレサが多田君に惚れる話で、
終盤になると多田君がテレサを好きになっていたことを気付く話。
その中で、終盤になるまでテレサが王族であることは隠されていましたね。
テレサが王族であることを踏まえて、テレサの恋というのは誰向けなのか?
恋愛が自由に出来ない、そういった固い気質って、現代に沿わない。
マイノリティな悩み、高貴な悩みで、共感しにくい。(海外の王族ドラマみたいなものかな)
シチュエーションとしてロマンチックだとは、思いますけどね。
その中で、期間限定の恋というのを、切なく、共感しやすく作るのは難しいとも振り返りました。
では多田君パートはどのようであったか。
多田君の性格、届かないものなら忘れることにしていた。
奥手な人に届けたいのかもしれないが、奥手な人だって簡単に忘れることは出来ないし、
奥手の人は多田君みたいに、恋愛や近くの女子に興味が無いわけではないし、
多田君という人物に重ねるのは難しいと感じました。
「この恋を一生忘れない」というキャッチでしたね。
波乱のある恋ではなかった。
恋のライバルとは明確にはやりあわなかった。
多田君にとっても、テレサにとっても初恋だった。
人それぞれ思い出の価値はそれぞれですし、初恋の価値が一生忘れないものでも不思議ではない。
ですが、この作品を通して見て、この作品の恋が「一生忘れない」と私に思わせる力はなかったですね・・・
そもそも「一生忘れない」というのは、「一生会えない」というような、喪失がなければ、
成立しない言葉、感情、決意ではないでしょうか。
確かに、多田君は一度テレサを喪失しましたが、ハッピーエンドで、喪失の時間は短かった。
EDの「ラブソング」は居なくなってしまった人、もう会えない人への曲なのですが、
この曲から伝わる喪失と渇望の感情は、この作品にはなかった。
OPから伝わる、ストレートに恋してるという感情を伝えたいという部分も終盤にしか描いていなかったように見えます。
(OPもEDも多田君からテレサに対するメッセージソングとして扱っているようにみえます)
会えない気持ちをずっと描く話ではなく、
高校生活での二人の恋の進展を描く。
喪失の話ではなく、発展の話だった。
私が求めたものとは、ベクトルが違う方向に行ってしまいましたかね。
以下、雑多ですが・・・
多田君が喪失した時間をもっと長く描いていたら、評価も変わっていたのかな。
メインキャラが青春や恋愛に積極的でなく、高校生活の劇として、変化に乏しいのが、
本音のところで問題なのかもしれないですね。
ラブコメというジャンルカテゴライズに甘えて、コメディが弱いですね。
テレサの謎キャラ付け(虹色将軍とか、石ばっかり写真に取るとか)が「カワイイ」を狙っているだけで「面白い」にはなっていない。
それと、友達やサブキャラの恋、他の事に時間を割いていますが、作品にまとまりがなくなっているように感じます。
テレサがEDを歌うことに対して、失われる側がこの曲を歌うこと、
原曲の感情を込めたような歌い方から、メロディを楽しむようなキレイな歌
い方に変えた事、
そういったものに対して違和感があるのですが、
いなくなってしまった人が、「美しすぎた人」であることを表現するなら、
こういう歌い方もありだな・・・と途中から感じていました。
きりがなさそうですので、ここまでにさせていただきます。読んでくださり感謝です。