Progress さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
義理と人情とイクラとクズと
ホームレス!
ヤクザ!
歓楽街!
中学生バーテンダー!
イクラ!
この社会の闇を凝縮したような世界がどうしてこうも面白おかしいのか・・・
さて、この作品はジャンルで言うとコメディだと思いますが、
間に本気で心温まらせようとする(ハートフル)話を持ってくるので
ハートフルコメディ、つまり喜劇に当たるのだと思います。
この作品の面白いところは、
一種の演出、落差の利用、間の取り方、劇の終わり方、
そういった視聴者への見せ方でしょうか。
例えば、前述した心温まる話のBパートの前に、
クズ達が織り成す狂気のコメディAパートを持って来て、
見おわった視聴者にAパートとBパートの落差の余韻を楽しませる構成、
ああいう見せ方がとても気に入ってます。
間の取り方だったりとかは、新田のツッコミが「切れてる」「冴えてる」とかの表現をしてもいいのですが、
あまり漫才の評価をする抽象的な評価で留まってしまうのでもう少し考えてみます。
新田のツッコミが面白い、面白くない、それだけでは理由がありません。ツッコミとは、相手がいることで初めて成立します。
つまり登場人物達の中での「掛け合い」、その中での、声の抑揚、ツッコミを入れるタイミングによる登場人物の心境の表現、そういったものが面白いと思わせる方向へ向けているからこそ、「新田のツッコミは面白い」のかもしれませんね。
さて、最後の話題ですが、劇の終わり方。
これは皆さんもこの作品で良く感じていることではないでしょうか?
次の話数に期待度が膨らむ、という言葉だけで終わらせてしまってはもったいないので、
なぜ期待が膨らむか、考えてみましょう。
研究材料の例として、ヒナのやらかし。しおらしいヒナをみて、新田がヒナを
許してやろうと思った矢先に、新田の壷を割り、新田の帰宅でEND。
1話完結物や、連続物であっても、なにかしらオチや反応をつけるものですが、
新田の帰宅で終わって新田の反応が見えないって見せ方がポイント。
「新田の反応が気になる(笑)」
「この後、ヒナはどうなっちゃうんだよ」
そういった想像力を掻き立てられますよね。
視聴者の想像力が期待感を生むと考えると構成って面白いなあと考えさせられます。
最初に言った社会の闇がどうして面白い、の理由ですが・・・ハートフルコメディという世界が、
自分の利益の為に、したたかな人間や他人を貶めようとする人間を、もしくは人間性を、
浅はかな物で笑いものにしていることが、この作品がヤクザ作品でも許容できる理由だと思います。
そして、登場人物のどんな所にも一種のクズさもしくは誠実さを持たせることで、義理と人情が通じる世界観が生まれていることが、ハートフルな部分をしらけさせないワケなのかもしれないですね。
こんな所でしょうか。正直、最終話を見終わってから1、2週間は経っているのにも関わらず、ほとんどの話数のストーリーを覚えていられていたので、結構私楽しんでいたんだと驚きと共に自覚しました。