reath さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
原作読了済み アニメは本当にもったいなかった
原作読了済み。原作はもう文句なしの100点満点・・・といいたいところだけど後半ちょっと微妙だったので95点くらいですが、まあ、本当にすごくいい作品です。
アニメの方も駆け足気味で描写が駆け足気味で一部の心理描写、科学理論や細胞、薬学知識など様々要素を簡単にしてしまったという不満はあるものの(アニメの都合上仕方ないし)1話から6話までは丁寧に原作準拠で作られており、ギャグとシリアスとエロが混じって、切なくもあり、怖くもあり、でも笑いあり、ドキドキもありといったあらゆる要素がバランスよく高水準で展開されている作品。
まあ、前半は良かったんですが、大体9話あたりの奈波シナリオあたりから原作にはないオリジナルの改変が加わり始め色々と漫画とは違う展開になるのですが、問題はさらにそのあと。
完全に原作の膨大な情報量をあり得ない話数に詰め込んだ結果、非常に大きな改悪と省略の繰り返しでもはや完全に別作品になって無理やり終わらせてしまった完全に、アニメの尺の都合で無理やり改変させられた アニメだった。
以下詳細なネタバレ
{netabare}
極黒のブリュンヒルデの魅力は何といっても、魔女にされた女の子たちの過酷な状況化で、それを助ける主人公の知能戦しかり、クロネコと良太の関係
しかり、カズミや佳奈、小鳥、初菜の人間関係と日常を切なく描いた人間ドラマが非常に魅力的な作品。
奈波の話からあとも原作では非常に濃いラブコメと、非常に深いSFシナリオ、設定、葛藤、悲壮、色々な要素が絡み合い、手に汗を握る高度な情報線画繰り広げられる話がいろいろ続いていくのだけどアニメはその辺をバッサリカット、最終編の深いドラマも完全に幼稚化させたかなり最悪のまとめ方をされてしまった。
具体的には奈波以降の話で試験勉強中の話がアニメでも展開されますが、そこで起こるスカジ戦がまるまるカットされています。
このスカジ戦は、佳奈と良太が信頼を深めていく場面だったり、カズミに心情変化が起こり、その後の展開を一層深くしていく大事なパートになるのですが、その過程がまるまるカットされているのでアニメ後半でのキャラ心情が非常に薄いものになってしまってます。
特にカズミの黒羽に対する宣戦布告。(本気で良太を奪いに行く)黒羽の良太に対する想いのふくらみ、恋の自覚、そのあとからの一か月誰かが生きられることに対する、カズミのくじ引き宣言に始まり良太が黒羽がクロネコだとわかるシーンにいたるそれぞれのキャラの思い入れがすべてカットされてしまっているので、感動を呼び起こす構成になっていません。
原作ではこの辺のシーンは胸をえぐられるぐらい辛い想いや切ない想い、キャラの悲壮感がものすごく出ている場面でしてそれぞれのキャラの複雑な思いがあるのですが、それが語られておらず、アニメではあくまでストーリーの展開がそうなるからそうなったという、雑な扱いになってしまって非常に魅力がさがっております。
更に様々な設定変更や、改変が行われており、もはや原作とは全く別作品となってしまっています。
特に小鳥の扱いは改変に改変を加えた結果、全く何の感慨もわかない終わり方になっています。
1クールにすべてまとめようとした結果すべてが台無しになってしまったといっても過言ではありません。
{/netabare}
2014年のアニメであり、この後半の結果ですと第二部も絶望的ですし、そもそも第一部も描写不十分すぎます。
なので正直極黒のブリュンヒルデが好きになった方で、原作をまだ読んでいない方、是非とも原作を読んでいただきたい。
後半の不満はそれですべて解消されます。
原作では続く第2部の話もあり、寧子、カズミの話もより色々な展開をむかえたりしてとても面白いです。
自分は見るのが遅くなってしまったためこんなタイミングでレビューを書くことになってしまいましたが、原作を読了して、アニメを見て、アニメをみただけでこの作品を評価してほしくないなと強く想いを抱いた作品になりました。