シャベール大佐 さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
感動系の作品ですが、設定を少し欲張りすぎたかも
感情を持たない元兵士の少女、ヴァイオレット・エヴァーガーデンが、戦後手紙の代筆業に就き、様々な依頼をこなしながら成長していく、みたいなお話。全13話。
作品のタイプとしては感動系。手紙の代筆依頼を1話完結で描くエピソードについては、基本的に優しく温かい話が多くて、方向性には好感が持てました。内容自体は必ずしも完成度が高いというほどでもなく、設定や展開に気になる部分もあったりしますが、あら探しをするようなスタンスで観るよりは、素直に良い話として受け取ったほうがこちらも気持ちが良いですし、実際それなりに楽しめました。特に第10話などは、途中でオチが読めてしまっても、普通に泣けるいい話だったと思います。一方、戦争を絡めたエピソードについては、陳腐という印象がどうしても拭えず、観ていて何も心に響きませんでした。個人的な感覚としては、ハートウォーミング系の「お涙頂戴」ならばこちらも優しく許容する気分にもなりますが、戦争を安易に利用した悲劇系の「お涙頂戴」には、どうにも白けてしまうようです。
作画はとても綺麗。ただ、常に画面に紗がかかったような色合いは、あまり好みではありませんでした。
音楽はED曲が悪い意味で話題になっていたようですが、まあ批判されても仕方ないかも。(曲自体が悪いというより、声質や、EDへの入り方の問題だったようにも思いますが)
最後まで観終わって振り返ると、全体的に設定をやや欲張りすぎという感じがしました。感情を持たない少女が愛という言葉の意味を探す、というような物語に、元は戦闘マシーンのような少女兵だったとか、両手が高性能の義手であるといった、かなり特殊な設定が本当に必要だったのかは少々疑問で、もっとシンプルな設定のほうが素直に泣ける物語にできたように思いました。