「ヴァイオレット・エヴァーガーデン(TVアニメ動画)」

総合得点
94.3
感想・評価
2564
棚に入れた
10460
ランキング
6
★★★★★ 4.2 (2564)
物語
4.1
作画
4.5
声優
4.1
音楽
4.1
キャラ
4.1

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Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

「お客様がお望みなら、どこでも駆けつけます。自動手記人形サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです。」

この物語の原作は未読ですが、原作は初の「京都アニメーション大賞受賞作」なんだそうです。
満を持してアニメ化されたこの作品…作り手の気合がそのまま乗り移った作品だったのではないでしょうか。

この物語の主人公は、石川由依さん演じるヴァイオレット・エヴァーガーデン…
戦争の道具として生み出された彼女がこれまで生きてきたのは、血と硝煙の煙でむせ返りそうになる戦場…
ここまで自分を育ててくれた軍の上官だけが、彼女の唯一の拠り所であり大切な人…

でも永遠に続く戦争はこれまでにも例がない通り、彼女の戦場もまた終わりを迎える時がきました。
戦争が終わり家に戻れる…これは誰もが喜ばしい事だと思っていました。
ですが、戦場にしか居場所の無かったヴァイオレットが新たな一歩を踏み出す瞬間でもあったのですが…
戦争が彼女のもたらしたモノ…
著しい身体の欠損と、居るべき人が見当たらない日常…

欠損した身体の部分を補う…並大抵のことではありません。
欠損による痛みとその傷口に触れる二重苦は、容赦なく彼女の意識を深淵の闇に葬り去ろうとします。
でも…彼女の心はここにあらず…
身体の痛み…傷の疼きより、居るべき人が見当たらない日常の方がよっぽど彼女にとっては怖かったのでしょう…

そしてある日、ヴァイオレットを託された…と軍の中佐が彼女の元を訪れるのです。
その中佐はクラウディア・ホッジンズ…彼女の上官の親友である彼はC.H郵便社の社長を務めていました。
身体は快方に向かいながらも心がついていかないヴァイオレットは、彼の元で自動手記人形として代筆業をすることとなり…物語が動いていきます。

電子メールなどの相手に伝える簡便なツールが発展して、手紙そのものが疎遠になった気がします。
でも、だからこそ手紙を送るというテーマがとても素晴らしく感じました。
何故なら、手紙は想いを伝えるモノだから…
その想いに触れると…気持ちは伝染するから…
そして、色んな手紙があり送り方も受け取り方もさまざま…
一つとして同じモノはありません。

ヴァイオレットのことを「感情を持たない少女」と表現されていました。
でも私は少し違うと思います。
「持たない」ではなく「知らなかった」だけなどでは…と。

もともとは戦争の道具…人を殺すための道具でしかなかった彼女…
冷徹さを保ち続けるためには余計な感情は不要…
そういう意味では軍にとって彼女は都合の良い存在だったのかもしれません。
孤児で親も無く言葉も知らないから…

もし彼女が感情を持っていなかったら…どうしてあんなに人の心を動かす言葉を紡ぐことができるのでしょうか。
そんな彼女を軍の人間は理解する事ができなかった…
ただの一人を除いて…ですけど。

だから彼女はドールとしての仕事を全うしていくにつれ、彼女が変化していくのは当然の結果だと思います。
だって彼女はこれまで知らなかったことを「知っていく」のですから…

彼女がドールになったのはきっと偶然…
でもドールとしての彼女が変化するのは必然だったんだと思います。
回を追うごとに表情と相手を思いやる心がどんどん豊かになっていくのが伝わってきます。
想いは届けるモノ…
届かなくても良い想いなんてないこと…
知れば知るほど豊かになる表情…大好きでした。

彼女がずっと分からないと言っていたこと…
ホントは分かっていたんだと思います。
ただ、その表現の仕方と意味が分からなかっただけなんじゃないかと…

思わずハッと息を呑むほど可憐な彼女…
これまでの自分の生き様で身を焦がしながらも、誰も殺さない不死へのこだわりを見せる彼女…
世の中今のヴァイオレットみたいな人ばかりなら、無益な争いも起こらないのでしょう…
ですが、時代が…世の中の早さについていける人ばかりではないのです。

彼女が何をも厭わず全力で守ろうとする姿を2度見ました。
これまで彼女の大切は唯一無二だった軍の上官…
でも気が付いたら、彼女の周りは大切で溢れていたんです。
彼女の執念…全身が軋んでも彼女は決して力を緩めません…
彼女が自身にかける負荷は、彼女の身に余る大きさで、どんどん自分の身体が綻んでいきます。
だけど、彼女は緩めることができないんです。

緩める事は諦めに直結するから…
次は絶対に失敗することができなかったから…
それこそ今度も失敗したら永遠に自分の居場所を失ってしまうから…
だから彼女に選択肢なんてなかった…
彼女の本気と全力の言動の顛末は…?
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、TRUEさんの「Sincerely」
エンディングテーマは、茅原実里さんの「みちしるべ」
どちらの曲も胸に染み入る良曲です。
でも今回はオープニングに軍配かな…
涙腺を直撃するあの歌詞…あれは反則ですよ^^

1クール13話の物語でした。
ですが嬉しい情報が…
最終回終了後に「完全新作」の制作が発表されたんです。
ヴァイオレットをもっと見たい、という要望はきっと山の様にあるんだと思います。
かく言う私もその一人ですけど…。
発売される円盤の枚数から1クールと想像していましたが、まさかの続編発表…
いやぁ…これは期待しちゃいますね。

投稿 : 2018/04/11
閲覧 : 305
サンキュー:

59

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