カンタダ さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
キレイな作品
作画も音楽もなかなか秀逸で感動を誘う作品だが、なにごともほどほどがよろしいもので、製作者側の視聴者の涙を絞ろうとする意図が露骨に見えてしまうのが残念。
さあ、ここで泣いてください。ここで感動してください。と言われても、鼻白むばかりでどうも入り込めない。絵が綺麗なだけになおのこと綺麗事に映ってしまうのは失敗だろう。
キャラの掘り下げにも不満が残る。アニメだから許されるのかもしれないが、感情のない戦闘マシーンのような人間なんて想像ができない。戦時という特殊な状況下だからといっても、やっぱり無理がある。それならいっそ人間ではなくて犬などの動物でもよかったかもしれない。代筆はできなくても郵便配達くらいならできるだろう。それでも立派な仕事である。このほうがずっと感動できそうだ。
じっさい軍犬という人間の命令に忠実で健気に任務を果たしていたということを従軍記で読んだことがある。銃弾飛び交うなか被弾しながらも命令文を届けるために司令部と前線を行き来したという話などは、ことさら感動的に描かなくとも胸を打たれる。そういったものを作れないものだろうか。
戦争は悲惨なものだが、それだけにとどまるものではない。国と国、人と人が身命を賭して戦い、自分を捨て自分以外のもののために死ぬという自己犠牲的で崇高な側面もあることは認めなければならない。
戦争を題材にするなら真剣に戦争を考えなければならない。戦争=悲惨という手垢にまみれた薄っぺらい構図で感動を誘うという手法はいいかげん卒業してはどうか。