「ヒナまつり(TVアニメ動画)」

総合得点
92.9
感想・評価
1278
棚に入れた
5899
ランキング
15
★★★★☆ 3.9 (1278)
物語
4.0
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.7
キャラ
4.2

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

酒とイクラとヤクザと少女。

アニメーション制作:feel.
2018年4月 - 6月に放映された全12話のTVアニメ。
原作は、『ハルタ』に連載されているギャグ漫画作品。作者は、大武政夫。
監督は及川啓。

【概要/あらすじ】

新田義史。33歳。金髪のオールバックで左眉に傷跡のある彼は見た目の通りにカタギではない。
関東を代表する暴力団・王道会系の下部組織・稲荷会の枝に位置する三次団体・芦川組に所属する。

新田は大学に通っていた経歴があり(卒業か中退かは不明)、インテリヤクザに位置する。
金融・不動産・経営コンサルタント業で大儲けをしていて、
組にもたらした利益は上位団体への上納金という形で貢献度が著しく組長に目をかけられている。

一方で組長である老人・芦川良彦の部下にはイケイケの極道orバカしかおらず、
喧嘩は弱っちいくせに金の力で取り入って親父にウケの良い新田への風当たりが強い。
イメージとしては時代小説によく見られる、秀吉子飼いの武将たちと官僚的な石田三成の関係に近い。
新田は組に都合のいい財布代わりであり、新田無しでは芦川組はイケイケの末端組織でしかないのだ。

そんな新田は高級マンションに住み、夜の街に繰り出しては豪遊を繰り返す。
そして骨董品集めが趣味という成金趣味のリッチな独身貴族を満喫していたが、
ある日、新田の家に謎の超能力少女のヒナが現れ、力ずくで半ば強制的に居着いてしまう。
ヒナのサイコキネシスは強力無比であり、ヒナの力の前では暴力は意味を為さない。
組織で育てられて、常識を知らないヒナのために色んな物を買い与え、
まるで主夫のように炊事・洗濯などの世話をするハメになってしまった新田。

新田とヒナの擬似親子的な奇妙な共同生活の中で、人間関係のアヤを楽しんだり、
他には、おかしな登場人物だらけの噛み合わなさをネタにしたり、人情コメディ的な話が展開される。
そして新田がヒナと関わっていくうちにヤクザとして名を上げていくといったストーリーが、この作品である。

【感想】

原作は既刊14巻まで読破。まだ単行本になってない15巻収録予定の『ハルタ』連載分だと、
連載終了に向けて、いろいろと話を畳み始めてる感じ。

原作では途中で3年後の高校篇に移るのだが、その3年前のヒナが中学1年生時のエピソードをアニメ12回分に再構成。
アニメは原作に忠実で面白い話もあるのだが、個人的には少々物足りない。
尺の都合で原作の中学篇全部をアニメ化出来ずにカットされた話が単行本2冊分はあるかな?
ヒナまつりは一話完結方式の原作なのだが、前にあったエピソードが後の展開に影響してくることが多くて、
話を飛ばしてしまうことで、キャラの心情や関係性の微細な変化というのが見せられなくなってしまう。

傍若無人だったヒナが空気を読むようになったり徐々に人間性を身につけていくのであるが、
反面教師としてヒナに影響を与えたと思しき、原作では屈指の人間のクズとして扱われている、
新田の妹・美香のド畜生エピソードがアニメでは見事に丸々無くなっていたのが残念。

新田にしても原作では双肩に龍の入れ墨があるのだが、アニメでは彫ってないし、
新田の武勇伝として語り継がれる原作での数々のエピソードがアニメでは殆ど無くなっている。
借金取り立てで追い詰めるとか誘拐事件とか銀行強盗犯とか犯罪絡みの話が軒並み削られているはどうなんだろう?
第一話の鉄砲玉とアニメ終盤のコンクリ詰めしか残っていないのでブラック成分が物足りない。

実はアニメではヤクザ成分が薄めでヒナとアンズとマオが中心過ぎて、萌えアニメ寄りに取捨選択されている。

1期だけで終わるなら破綻なくエピソードが整理されていて、アニメそのものには特に不満は無いのだが、
2期を前提にすると、こりゃダメじゃないの?と思ってしまう。
実はヒナの周りには後二人中学生の登場人物がいたのだが、アニメでは登場すること無く終わっている。
実はOPでヒナがイクラ丼を持って登校するシーンで瞳たちと一緒に未登場キャラが走ってたのだが、
何故本編でいなくなった?その片割れの打算でしか動かない腹黒委員長はいなくても影響ないのだから良いのだが、
憂鬱イケメン王子の仁志。彼まで省いたらあかんやろ?ヒナやヤクザに後々絡んでくるし、
高校生篇でも仁志と父親のエピソードがあるのに。
もし2期があるなら、省かれたエピソードの数々どうするの?と気になる。
省かれた話では新田の武勇伝以外にも、瞳関連で後に影響の大きいエピソードが多いし、
メインストーリーに関わる伏線回も結構ある。
削られた話は2期をやるなら必要な話だらけなのだ。回想という形で後に振り返るの?3年後から再び3年前に遡るの?
時系列を並び替える?監督の構想はどうだったのか気になるが、12回縛りだと碌な構成にならないなと思った。
という理由で、アニメそのものは面白いと言えば面白かったのだが、ちょっとモヤっとしたものが残ってしまった。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2018/07/28
閲覧 : 690
サンキュー:

89

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