「銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅(TVアニメ動画)」

総合得点
70.6
感想・評価
281
棚に入れた
875
ランキング
1537
★★★★☆ 3.5 (281)
物語
3.5
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.4
キャラ
3.5

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ネタバレ

Takito さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:今観てる

とりあえず視聴続行で。

”銀河英雄伝説”
日本アニメ界に燦然と輝く名作であるが、それゆえに今回のリメイクのハードルは異様に高い。自分も原作を読み旧作OVAを見てきたものだけに見る目が辛くなってしまっていることを自覚しないでもない。一話を見て気になったことがいくつかあるが、そのうちの特に気になった点を二つ挙げてみる。
【やっぱ尺が短いよ】
いくつか台詞が省略されてしまってるわけだがそんな中でも①「キルヒアイスのラインハルトへの進言」、②「ヤンの進言をはねつける上官」、③「ラップの最期の言葉」が省略されてしまってるのが勿体ない。
 まず①に関して、原作では計三回の艦隊戦の合間に兵士に休息を取らせるようキルヒアイスが進言する場面があるのだが、このシーンはキルヒアイスとラインハルトの関係性を良く表していると思う。ラインハルトは軍事と政治に卓越した才能を持っているが見据える先が遠すぎるが故に身近なことや小さなことを見落とすことが多い。対してキルヒアイスは軍事と政治にもラインハルトに匹敵するほどの才能を持ちながら、きめ細かな気配りもできラインハルトの足りない部分を補った上、配下の将軍達とラインハルトをつなぐ役割を担う。二人は単なる親友同士にとどまらず一心同体ともいうべき存在であるわけだか上述したシーンはこれを良く表していた。にも拘わらずこれを第一話という大事な掴みの部分から抜いてしまったのは残念だ。
 次に②に関してであるが、ラインハルトの戦術を予見したヤンは上官に作戦の修正を具申するわけだが、全く相手にされないうえに他の将官と違う毛色を持ち口をはさんでくるヤンを疎んでいることをうかがわせる反応を見せる。このヤンの立場こそ物語を通じてラインハルトに対し常に戦略的に不利な状況にあるしかなかったことを象徴している。自ら進んで権力を掌握しにいったラインハルトに対しヤンは権力を忌避し続けるわけだがこの対称性が二人のライバル関係のミソになってくるわけである。しかし今作では丸まる省略されている(二話であるかも)。
 最後に③に関してであるが、ラップが戦死する際燃え上がるブリッジの中で婚約者のジェシカの名を呼ぶシーンが丸まるカットされていた。これはジェシカの存在自体が採用されていないのではという極めて不吉な予想を抱かせる。ジェシカは政治家として奮闘する中でいくつかの名言を残し、また同時にヤン・ウェンリーという人間に奥深さを与えてくれた重要な人物である。ジェシカなくしてフレデリカとの関係を深めていくというのは何とも寂しい話である。
【やっぱキャラデザ微妙じゃね?】
 キャラデザに関しては放送開始前からいくつか不満があった。若すぎるシェーンコップやオーベルシュタイン、あまり家庭的に見えないキャゼルヌである。中でも最大の違和感はやはりラインハルトだ。旧作では、何気ない仕草でも”豪奢な金髪が揺れ”、金髪の作画の繊細さがラインハルトの超俗的な美しさを良く表していた。また長身だがどちらかというと線の細い体していることもあり、男らしさよりも中性的で彫刻のような造形美を感じさせた。そしてそんな容姿を持つ彼がアイスブルーの目に野望を燃やしていたからこそ圧倒的なカリスマ性を備え、かつ同時にほのかな危うさと儚さを感じさせたわけである。だがリメイクではなかなかにガタイが良く、またCG故に髪に繊細な動きをさせることが難しい。今のままではただの天才的なイケメンでしかないが、ラインハルトはそんな玉ではない。歴史が動く瞬間に数世紀に一度現れる彗星のようなものなのだ。
 銀河英雄伝説ではラインハルトとヤンが二大主人公として立つわけだが、やはりラインハルトがすべての中心に立っている。彼が現れなければミッターマイヤーを始めとする多くの暁将は陽にあたることはなく、またヤンもエルファシルの英雄で終わっていただろう。それゆえにラインハルトの重要性は尋常じゃないわけだが今後に期待である。

投稿 : 2018/04/07
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