チョビ0314 さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ヒット作ではなく名作
カウボーイ・ビバップは当時のアニメとしては画期的な映画的表現、スタイリッシュなキャラクター達と魅力的な世界観と設定。
海外でも人気の高い「ゴールデン器用」菅野よう子氏の素晴らしい音楽。
キャストも実力派で固められていますし、ストーリーは基本的にオリジナリティに富んだ一話完結と区切りを付けやすいし、一気見をしても楽しめます。
様々な魅力に富んだ作品なので、多分どんな趣味の人でも1話か2話は興味を唆られる話があるでしょう。(スペース☆ダンディの様です)
さてこの作品の中で個人的に気になったのが、特異な魅力を放つヒロイン的立場のフェイ・ヴァレンタイン。
彼女のイメージカラーは黄色、メインヒロインのイメージカラーが黄色というのは結構珍しいと思います。
黄色は日本ですと「元気」「活発」「幸福」等プラスがイメージが強いけど、欧米だと「裏切り」「嘘つき」「詐欺」「臆病」というマイナスイメージが強い様で、これはユダのイメージが黄色だった事も起因しているみたいです。(分かりやすい傾向の1つというだけで、全部がそうではありません)
フェイは仲間を簡単に裏切ったり欺きますけど同時に臆病な面もあるので、彼女のイメージをとても良く表しています。
欧米の人が見た時に、こういった点からも受け入れ易かったのかもしれません。
調子に乗って同じ様に考えてみました。
スパイクはOPは主に青だがスーツの色も相まって濃紺(ネイビーブルー)としてみます。
濃紺は「純粋」「勇気」等があり、また「勝利の色」とも言われているので縁起を担ぎネイビーブルーのスーツを着たりもする事もあるそうです。
それからOPだと赤もありますから「危険」「怒り」も秘めている気がしました。
そしてスパイクの宿敵ビシャスはいつでも黒一色のダークスーツに身を固めており、シルバーブロンドというか白髪が印象的なので「黒」と「白」でしょうか。
黒の場合「高価」「優雅」「死」「陰険」等。
白は「潔白」「純粋」などと同時に欧米では古くから白旗にも表される通り「降参」や「敗北」の意味合いも強い。
こう考えるとビシャスは危険で魅力に溢れるが最後には負ける事が決まっていて、スパイクは最後に勝つ運命にあると無意識にイメージしやすいという考えも出来ます。
これはあくまで勝手な推測でしかないけど、多少でも掠っていたなら嬉しいなぁ…
それから基本的に登場人物たちの人種設定が良いです。
ビバップの世界観は国という枠組みも曖昧で、文化も人種も入り混じった世界。
メインキャラたちは基本的に根無し草、名前すら本名か怪しい存在です。どこに居ても不思議じゃない人種、まるで「移民」。
そういった多様性に富む人々が織り成す物語なので、様々な国の人々を魅了する事が出来たのでしょう。
また22話カウボーイ・ファンクの様に当時アメリカを騒がせた爆弾魔ユナ・ボマーをモデルにした時事ネタや、翻訳した際に向こうでも通用するスパイスがしっかり織り込まれていたりするのも素晴らしい。
もし本当に世界で評価される作品を作り出すのなら国内受けのみを考えず、外国の様々な価値観や文化、そして話題なども念頭に置かなければ駄目だと思います。
そして最後に1つ言いたいのは、カウボーイ・ビバップは名作でありヒット作ではないという事です。
ヒット作とは商業的に成功し人気を博しますが、その時代のみでしか最高の輝きを放てず時が経つと古臭く感じる物。
逆に名作は例え世に出た時は商業的には振るわなかったとしても、世代や時を超えて独自の魅力を放ち続ける物である考えています。
本で例えるならベストセラーが名作になるとは限らず、名作とは読者を獲得し続けられる作品という感じでしょうか。
こういう考えからビバップは紛れもなく後者であると確信しております。