「ヴァイオレット・エヴァーガーデン(TVアニメ動画)」

総合得点
94.3
感想・評価
2564
棚に入れた
10461
ランキング
6
★★★★★ 4.2 (2564)
物語
4.1
作画
4.5
声優
4.1
音楽
4.1
キャラ
4.1

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ネタバレ

岬ヶ丘 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

そして彼女は、その名にふさわしい女性になった

 今クールの作品で当初最も期待値が高く、さらに京都アニメーションの歴代の作品でも過去最高を更新するのでは?と注目していた作品。というにもPVが凄まじかった。美しい音楽とともに流れる息を飲むような作画、色彩豊かで光り輝く風景、珍しい時代性や「愛」というテーマ。今まで見てきた中で一番感動的なPVといっても過言ではないし、あれだけでもアニメ1作分の価値があると思うほどのクオリティーだった。

 作品の概要に触れると、作品のテーマとしては海外ドラマのイメージに近い、これまでの京アニとは違うテイストの世界観やキャラデザ。「愛」という普遍的かつ簡単なようで難しいテーマを「手紙」というこちらも魅力的なツールとともに表現するという試み。原作は未読だが興味深いコンセプトで、京アニの本作への並々ならぬ力の入れようににふさわしい題材。


 さて本編の感想をまとめると、他のレビューにもあるようにやや辛口の評価になってしまうかな。序盤から単話形式の構成が多く、一話一話を切り離して見てみるとまとまっており、内容も感動的なお話が多い。ただそれを全13話を通して見ると、物語や感情の歯車がうまくかみ合っていない印象が強かった。
 ヴァイオレットの成長過程つまり、感情を知らない少女が手紙を通して人と出会い、初めて知る気持ちに触れ、自身の感情に芽生え、そしてその発露と戸惑いを経て、愛を理解するという流れ。この一連の流れが全く繋がっていないわけではない。ただ悪いわけではないのだが、もっと良くもできたんじゃないのかな、というなんとも悔しい気持ちが胸に残った。
 恐らくヴァイオレットの成長のゴールや着地点をどう設定し、そこに至る過程をどれくらいのペースで描くかという点で、個人的な予想を上回るスピードに戸惑ってしまう部分が多かった。彼女の歩む道は正しかったが、彼女の歩みが少し速すぎた気がする。

 また世界観に関しても戦争が時代背景としてあるため、ヴァイオレットの戦闘描写なども特に終盤などに見受けられる。最近の京アニ作品では見られない演出で新鮮だったが、全体的にややチープな感じも否めなかった。どこか表面だけをなぞったような戦闘シーンや粗のある設定に違和感はあった。

 作画は圧倒的な安定性とクオリティーの高さだった。ただ心理描写も多い本作では動的な動きが少なく、レベルの高い画がかえって少し重たい印象も受けた。クオリティーが高すぎるが故に皮肉にも少し見にくいという、なんとも複雑な気持ちになった。
 音楽はイメージ曲「Violet Snow」が良曲だったので、こちらを本編でももう少し効果的に使ってほしかったかな。またそもそもOP・EDがカットされる回も多かったので、楽曲の存在感もやや薄かったか。

 色々と厳しい感想をたくさん書いてしまったけれど、いい作品なのは違いない。これは恐らく私がヴァイオレットに少しだけ嫉妬しているからかもしれない。最後に「愛」を知った彼女の表情がとても美しかったから。
 最後になるが、本作は京アニ作品の新しい1ページを飾るにふさわしい作品だと思う。新作も既に決定しているということで、本編を踏まえてどんな物語が展開されるのかその点は非常に楽しみ。

視聴日 18/4/6

投稿 : 2018/04/08
閲覧 : 199
サンキュー:

16

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