kku さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 2.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
2つの教養
この作品は脚本が本当によく出来ています。
毎回のクオリティーに驚かされました
1話ごとの完結性と完成度が完璧で、例え間違って1話飛ばしてしまっても困ることはないくらいです
プロット自体、南極を目指すという突拍子もないストーリーが軸ですが、この作品が訴えたいことは南極でなくても成立するテーマです
それが何なのかは実際拝見して感じとってみてください。
前半はワチャワチャする掛け合いに少々疲れました。
深夜アニメでついていけないパターン。
おそらく、特定の層に媚びた結果やシリアスシーンとのバランスを図ろうとしたのかもしれませんが間違いなくやり過ぎです。
しかし、9話あたりから画面や音声が落ち着き始め10話からの連続感動シーンは見ものです。10話あたりから毎回うるうるさせられます。
テーマの主題ですがとっても真面目なテーマを取り上げています
ひとつは教養文学的(ビルドゥングスロマン風味)な色合いです
ああいう少年文学が持つ、衝動性やみずみずしさや、ロマン的な力がこの作品にはありますし、この作品を観た人は何かしら能動的な気持ち、ポジティブな気持ちにさせられます
顔が上がり前へ目が向くし、成長に必要なものを見つけるかもしれない。
そういう力強い作品です
世界名作劇場などがこういう路線じゃ有名ですが監督の頭にそういうのが
あったりするのかな?
もうひとつは教養的な色合いです
南極の歴史や特徴など教育番組みたいな感じで知識を挟んできます
ここにはギャグもなくとても真面目に取り上げています。
それほど深く説明してはいないので期待は禁物ですが。
残念な点が「完成され過ぎてる」ところ
声ですが、どのキャラも成熟しておりストーリーの障害になっていました
このテーマの大事なものが『成長』なら、初々しい声優さんを起用してもよかったと思います
そして話数が進むにつれ演技のピントがはっきりしていく、そんな声だったらストーリーとリンクしてもっと良かったはず
さらについていけない会話のやりとり。少しバカっぽくて残念な出来です
これらにより、せっかくのテーマ性のある作品が全体的にとても幼稚に見えてしまってました
前半の流れも少し陳腐で退屈なシーンがいくつかありました
これはどこかでみたなという感じ
ありがちな4人組、女子高校生、かわいい女の子、売れっ子声優さんというやり尽くされたスタイルは一見視聴者を選びそうなのが損をしていますが、全体的にはまとまっており万人向けのよくできた作品です
それぞれのキャラが自己成長していく姿は毎回すがすがしい気持ちになりました
作り手のメッセージも明快で視聴者に確実に作品の理念が届くのではないでしょうか?最後の締め方も教養小説的で暗示めいた終わり方、世界が拡がる終わり方は気持ち良かった。2期を求める人はもう一度観て下さい。
そこに答えが必ずあります。
好きなシーン
{netabare}
5話の絶交シーン。作画が凄くてすぐにチェックしました
刻刻で作監してる日向正樹氏でした
9話の氷を砕くという示唆
目標の信念が、長年のわだかまりの心を砕く、彼女たちの成長の障害を砕く
、失恋で気持ちが砕かれるなどいくつかの意味合いを持たせていて唸りました
11話の演説シーン。
とても力強く、優しく、思いやりにあふれたセリフ。
これで4人の関係が特別なものへと昇華した名シーン
このシーンがこの作品を平凡な作品でないことを証明してる気もします
{/netabare}