yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「からかわれ上手の西方くん」或いは「西方大好き高木さん」
二人はゲームに興じている。
授業中も
下校中も
夏休中も
登校中も
二人の二人による二人の為だけのゲームに。
{netabare}二人はゲームに興じている。
しかし
彼の興じるゲームと
彼女の興じるゲームでは
目的も
勝敗も
異なっている。
彼の興じるゲームは
彼女に勝つことを目的とし
相手に恥ずかしい想いをさせた方が勝つ
そんな感じのゲーム。
彼女の興じるゲームは
彼との時間を創ることを目的とし
彼に恋心を自覚させることが出来れば勝ち
そんな感じのゲーム。
二人の興じるゲームは
彼女が圧倒的な勝利を収め続け
彼女の思惑通りに進行している。
二人の興じるゲームには
本当のところは
勝敗なんて存在しない。
このゲームが続く限り
彼は負け続け
彼女は勝ち続けるだろう。
そうして二人の絆は深まってゆく。
別ち難いほどに二人の絆が深まったとき
そこには二人の勝者が並び立っているだろう。{/netabare}
高木さんのいじらしさに心が震えた。
高木さんのしたたかさに頭が痺れた。
高木さんは頭がよく、かつ、忍耐強い。
本能なのか理性なのか、
中一男子(或は西方)の精神年齢を良く分かっている。
{netabare}入学式に抱いたほのかな好意(興味と言っても良い)は
からかい(コミュニケーション)を重ねるほどに
確かな恋心へと育まれた。
だが、彼女は急がなかった。
隣の席の仲の良い女子というポジションを維持したまま
西方との仲を深める道を選んだ。
基本は友達として
時には異性を意識させ
ここぞという時にはきわどい言動も織り交ぜつつ
西方との距離を縮めていく高木さん。
夏休み前には高木さんと会えなくなることに
寂しさの片鱗すら見せなかった西方が、
二学期の席替え(アニメ最終話)では
高木さんと隣の席でいるために行動を起こすまでになった。
いずれは成就する恋路(からかい上手の(元)高木さん)のようなので
安心して見守っていく所存であります。{/netabare}
一番の見どころは、なんと言っても
第11話の「クリティカル」である。
{netabare}基本的に西方の視点で描かれる本作においては
高木さんの心の声は描かれていない。
そんななかで高木さんの本音が明確に描写されるシーンが二つある。
そのひとつがこの「クリティカル」である。
この瞬間は間違いなく
高木さんにとっての「人生最良に時」であり
視聴者にとって「最大の見所」なのである。
もちろん第12話「席替え」も見逃すべきではないし
同じく第12話「手紙」にラブレターの本質を感じるのもよい。
また第5話「雨宿り」での高木さんの大胆さに舌を巻くのもいいだろう。
(ちなみに同じく第5話「本屋」における偶然は全く偶然ではなく、高木 さんが張ったヤマが当たったに違いないと私は確信している。){/netabare}
2018.4.22追記
Vol.1初回生産限定特典
{netabare}①描き下ろし漫画1
「習字」の続きを描く。
ホッペにつけられた墨をぬぐう場面から始まり、
二人が提出した言葉「油断大敵」を決めるまでのお話。
オールカラーなのが嬉しい。
②からかいシミュレーションゲーム
夏休み前のひと時
高木さんとの仲を深めるイベントが開始された!
「ときめきゲージ」を満タンにして高木さんを攻略しよう。
おっと、先に「腕立てゲージ」が満タンになってしまうと
ゲームオーバーだぜ。
高木さんとの会話を楽しみながら好感度を上げていく
あの手のゲームである。
ところどころ高木さんが喋ってくれるのは嬉しい仕様。
ちなみにヘタレな私は5回チャレンジして
いまだ「ときめきゲージ」マックスに到達していない。{/netabare}
2018.5.20追記
Vol.2初回生産限定特典
{netabare}オーディオドラマCD①
2話収録。完全オリジナルシナリオ(たぶん)
「花の名前」
春うららかな日に学校へ向かう西方、
春眠暁を覚えず・・・を地で行く西方である。
そこに高木さん登場。
西方の博学な一面に触れる高木さん。
その授けた花言葉とは?
これじゃ、もう、
愛の告白じゃね?
「卵焼き」
やってしまった!
なんてこった!
忘れてしまうなんて!
いつも通りにバレバレの西方は
高木さんに半分分けてもらいましたとさ。
校舎の裏で二人きりで分けてもらいましたとさ。
一番美味しかったそれは、
それだけは高木さんの手作りだったとさ。{/netabare}
2018.6.10追記
Vol.3初回生産限定特典
{netabare}描き下ろし漫画2
「肝試し」の復路を描く。
復路ということもあり余裕の出てきた西方
今度こそはと高木さんを驚かしたのだが・・・
お約束に
高木さんに手玉に取られる西方であった。
ここで一句。
肝試し試されたのは西方の (やっぴ){/netabare}
各話解説
からかい上手の高木さんに惚れ込んだ不肖やっぴーが独善と偏愛に満ちた詳細な解説を(勝手に)執筆。
文句があるならかかって来い!(足はガクブル)
第1話
2018.4.22追記「消しゴム」
{netabare}出典 からかい上手の高木さん第1巻第1話
ここでキャラクターデザインについて少々触れておく必要があると思う。
連載漫画によくあることだが、主人公やヒロインのキャラデザが連載当初と現行ではかなり異なっていることがある。からかい上手の高木さんもその例にもれず、高木さんのキャラデザの変化は見過ごすことが出来ない。その変遷については、
プロトタイプ(連載開始前の読み切り)
↓
初期タイプ(連載開始~コミック第1巻終了)
↓
現行タイプ(第2巻以後)
と大まかに分けることができる。細かく言及すれば初期タイプから現行タイプまでの変化もかなり認められるのではあるが、今回は省略。端的に言ってしまえば、現行タイプに近づけば近づくほどより可愛い高木さんである。プロトタイプに至ってはヤンキー?と思ってしまうほどきつい顔をしており、言葉使いも乱暴である。これは初期タイプにも共通していることである。
そして、ここからが本題。
アニメ化に際しては、もちろん、当然のごとく、現行タイプの可愛い高木さんのキャラデザが採用されている。このことが、原作とアニメにおける「消しゴム」の印象をガラリと変えることになっている。キャラデザが可愛く変わったことに伴って、言葉使いもかなり柔らかく変更されている。
原作「西方ってホントいい反応するわー。」
アニメ「西方ってホントいい反応するよね。」
原作「ホントいい顔するわね。しかも思い通りの行動するし、これだから西方からかうのやめらんないわ。」
アニメ「西方ホントいい顔するよね。しかも思い通りの行動するし、そんなだからつい、からかっちゃう。」
ついでに言っとくと、「ろうかみろ」の後の高木さんのにやけ顔も原作とアニメでかなり違っている。原作だと「嘲笑」に近い表情になっているがアニメだと「小悪魔的な笑顔」って感じの表情になっている。
というような訳で、原作の初期作品のアニメ化にあたっては、高木さんのキャラデザが「より可愛く」なったことに比例して、高木さんの言葉使いや表情も「より柔らかく」変化している。
この変化は好ましいものなのか?と問われれば「とても好ましい変化である!」と胸を張って答えることができる。はっきり言ってアニメから入って原作を読んだ私としては、初期の高木さんには違和感を感じずにはいられなかった。からかわれるのであれば、可愛い高木さんであって欲しいものである。
さて「消しゴム」は原作においてもアニメにおいても第1話におかれている。この意味は大きいと思う。このエピソードが時系列的にどこに位置するかということが問題なのではなく、これを第1話に持ってきたということが問題なのである。つまり、ここにこのエピソードを持ってきたということは、宣言しているのである。「高木さんの恋心を描く」作品であると宣言をしているのである。「消しゴム」からこの宣言を読み取れたとき、この作品の真の魅力を享受する資格を得るのである。{/netabare}
2018.6.10追記「日直」
{netabare}出典 からかい上手の高木さん第1巻第6話
冒頭のゲーセンメダルのくだりはオリジナルエピソード。
っていうか「百円」への前振りになっている。
ついでに言うと終わり近くの三人組に登場シーンも
「百円」への布石となっている。
さらに付け加えておくと原作では服装が夏服であるが
アニメでは冬服となっている。
それはそうと、本題。
この話は高木さんの深い愛情を感じるためのものである。
高木さんは早起きが苦にならないのかもしれない(やっぴと同じ♥)
例えそうだとしても、
アイツをからかうと超オモシロイ
という理由だけで、
それだけのモチベーションで朝早く学校に来れるだろうか?
高木さんが二人きりの時間をどれほど大切に思っているか、
二人で過ごすことをどれほど欲しているか
が伝わってくるエピソードである。{/netabare}