oneandonly さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
もっと何か出来たのではないかと考えてしまう設定物
世界観:6
ストーリー:6
リアリティ:5
キャラクター:5
情感:6
合計:28
佑河家に代々伝わる止界術
止界術を使うと、森羅万象が止まった“止界”に入る事が出来る。
ある日、主人公樹里の甥と兄が、誘拐犯にさらわれてしまう。
救出の為にやむを得ず“止界術”を使うが、
そこにいるはずのない自分以外の“動く”人間たちに急襲される。
彼らは、止界術を崇める「真純実愛会」。
止界術を使用する際に必要な“石”をめぐり、
止界の謎、佑河家の謎が徐々に解明されてゆく…
(公式サイトより)
知人の紹介で視聴してみました(Amazonプライム)。
時間の止まった世界を動けるという設定は、まどマギの{netabare}ほむらの世界{/netabare}を連想しましたが、動けるからには空気等の物質が流動するし、人を動かしたりもできるわけです。物を投げれば、初速分だけ動いて止まります(ここは物理的な矛盾がありそうな気もしますが、詳しくないので置いておきます)。
さて、主人公の樹里たちは{netabare}誘拐された兄と甥を助けに止界に入るのですが、ここでじいさんの行動に疑問が。なぜ、これまで秘密にしてきた止界術を家族に教えたのでしょうか。止界に入れば他に動ける人はいないのだから、多少の手間と労力はかかりますが、全て1人で抱えて終わりにすれば良いと思いました。ここまで伝授しなかったのであれば、そう考えるのが自然ではないでしょうか。(アニメーションを見ると周囲数メートルの人間が一緒に止界で動けるようになるのかもしれませんが、それなら空き地に行ってやればいいので。)
止者を殺そうとするとカヌリニが現れて排除すること、カヌリニは止界に入った人間の成れの果てであること、クラゲを追い出せば止者になるといった設定も独特でした。
止界の中で止者を殺そうとするのではなく、少し離れたところから銃を撃ったら(弾が止者を貫通する前に止める)どうなるのかな等と考えたり。
佐河のカヌリニ化は、不老不死的なテーマにもつながってきましたね。糸を張り巡らして、それが触れただけで指が切れるほど鋭利というのがちょっと理解できなかったのと、赤子化というのも伏線がないので腑に落ちなかったです。ここまでの佐河の言動を見るに、赤子化をしたから安心できるようには思えないのですが。
樹里は止界で赤子化した佐河を半年くらい育てて送り出しましたが、その先の時間軸は止界が終わるまで動き出さないというのが不思議に感じられましたね。(例えば、樹里が止界で捨てたゴミは、止界にいる限り溜まっていきますが、そのゴミの総量が確定してからその先の時間が始まる。ということは、樹里の存在が消えるまで世界は再開しない?)
この止界にずっととどまって誰もいない世界を生きるか、発狂して自殺するか、老化していくか、など色々なことができる状況だなと思ったのも束の間、この作品にはカヌリニ化という設定があり、そうなる前に止界に入るための石を作った人間の妻と名乗る者に通常世界に戻され、結びとなりました。{/netabare}
終盤は家族愛を描く作品に少し変化しましたが、全体的に設定モノであり、数々の設定の歯車が合って物語性を高めるところまでには至っていなかったように思います。しかしながら、最後まで楽しんで視聴できましたし、上記のような設定の面白さはあり、もっと何か出来たのではないかと考えてしまう作品でした。
(参考評価推移:3~12話3.7→調整3.5)
(2018.3視聴)