蒼い✨️ さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
入れ込むほど、楽しみでも無いですね。
【概要】
アニメーション制作:Production I.G
2018年4月 - 6月に放映された全12話のTVアニメ。
原作は、田中芳樹による往年のベストセラー小説。
監督は多田俊介。
【雑感】
銀河英雄伝説といえば発行部数が累計1500万部というベストセラー小説であり、
旧アニメは30年前に始まり本伝110話・外伝52話・劇場版3作で完走したビッグタイトル。
それを平成最後の2018年に原作をベースに再びアニメ化したわけですが、
旧アニメに熱狂的なファンが多いためか自分の思ってる理想の銀英伝と違う!ということで、
ネット上では、キャラデザが気に入らない、声優がダメとか、
シナリオや演出面でいろいろと袋叩き状態。
声優面と音楽面では旧アニメと同じクオリティに達するのが、
今のアニメ業界では不可能なのを無視してはダメですが。
今回のアニメでは登場人物が個性のないイケメン化ということで厳しい意見もあるのですが、
旧アニメでは昭和の海外俳優をモデルにキャラデザを起こしまくってるせいか、
ファーストガンダムほどではないにせよ年齢よりキャラが全体的に老けていたりで、
実は今回のアニメのほうがフレデリカやシェーンコップの見た目の若さが自然といえば自然。
前作のシェーンコップは味があって良かったものの、
見た目がジェームズ・ボンド役のティモシー・ダルトンそのまま、
で実年齢より10歳以上老けてましたしね。
キャラが全体的に若々しいことへのオールドファンの不満といえば、
大河ドラマの『新選組!』の若造だらけの貫禄のない新選組メンバーに対する苦情が実は、
新選組は史実では20代の若者だらけだったから考証的には間違ってなかったみたいなもので、
実はクレームをつけられてる部分は旧アニメより原作に忠実に行った結果であることが多いですね。
シナリオ面でも旧アニメの初期はオリキャラとオリジナル展開が多くて、
旧アニメの初代のシリーズ構成の首藤剛志はアニオリを入れたがる拘りが強くて、
それで原作との乖離を修正したい田原プロデューサーとの話し合いで、
アニメから外れることになったのですが、
特に旧アニメの1クール目の同盟のアニオリエピソード『ジェシカの戦い』では、
選挙で与党の候補が野党が推薦する対立候補を爆弾テロで殺したりで、
原作よりかなりサヨク的な話になってたりで、
好き勝手にした恣意的な勧善懲悪的な部分で政治を語るのは、
今の御時世では支持を得られにくいというか、
新アニメでは世相に配慮されたポリコレフィルターをかけられた結果として無難な内容になりすぎて、
雑であってもドラマティックさを求めるオールドファンから、
こんなの自分の思ってる銀英伝とちゃう!と、不評を買ってたりするのかなと?
自分は旧アニメと同じように道原かつみ版のコミカライズも楽しんでいたので、
造り手による個性や解釈の差の一環として今回みたいなアニメもありかな?と容認の立場なのですが、
外伝エピソードを時系列を弄って本伝に挿入したりして、
帝国の貴族社会の歪さを視聴者に説明してた旧アニメと比べて、
1期12話のなかでエピソードを消化することが最優先でシナリオに余裕がなさすぎるかな?
ただシナリオを垂れ流してるだけで情感に欠ける。
キャラの出番や描写が中途半端になってしまって、
物語の掘り下げが足りてない若干の物足りなさもあるのも事実。
新アニメでもオリジナルシーンをちょくちょく入れてる補完しようとしているものの、
ヤンとジェシカがトレーラーに襲われてカーチェイスするシーンは要らなかったろう。
帝国の出番が少なくね?ラインハルトたちの出番の少なさなどの違和感がところどころにあって、
シナリオの配分のバランスが偏ってたり、
旧来のファンが銀英伝に求めていたものが新アニメから得られなかった不満というのは、
新アニメのアンチでもない自分でも薄っすらと存在したりで、
脚本家の能力が足りてないのかな?と思いましたね。
道原版みたいにアッテンボローやキャゼルヌ一家の出番を前倒しすれば良いのにと思ったりします。
個人的には、ヤングジャンプで連載中の藤崎竜版のコミカライズが幼稚な劣化銀英伝として、
ちっとも面白くないので、それと比較したら幾分は新アニメのほうがマトモに見えますけどね。
あの漫画は、ほぼ全てのキャラを改悪してるのが凄い。
漫画家の贔屓キャラの美形化&ヤラレキャラの豚化+妖怪化。
軍隊という組織にいながら、高級将校がアウトロー気取りで上官に敬礼できなかったり、
敬語が使えなかったり、マトモに軍服を着れないという無秩序ぶり、
人物のDQNキャラ化のオンパレードを、
カッコイイと勘違いしまくった登場人物の性格の陳腐化等、
原作ファンに喧嘩を売ってるがごとくの、くだらないアレンジの数々。
(特に許せないのがアッテンボローがゲバラのコスプレ気取りで、葉巻がトレードマーク、
ヤンのコバンザメでしかない知性もウィットも無いウザキャラに改悪されている点であり、
漫画家のセンスが劣悪で最低だと思った)
フレデリカがストーカーだったりポプランが脳みそツルツルだったり、
ベルゲングリューンがホモだったり、
そういった奇をてらいすぎて、素材を全殺しにしてる藤崎竜版のと比較すれば、
今回のアニメ化は変えてはいけないラインをきっちり守って、
やられ役にいたるまで登場人物全員が人間扱いされている、
まっとうなメディア化作品というだけでもありがたいのかも知れない。
ただ、とんがった部分がなさ過ぎて退屈と言えば退屈ですけどね。
そういう路線で行くなら個人的な要望としては、道原かつみによる旧漫画版のように、
同盟側の主人公ヤン・ウェンリーと、その周辺の人物の描写をみっちり掘り下げて欲しいのだが、
12話目まで見たところ、このアニメシリーズではプライベートな部分とか深く描く気無さそうで、
ただ原作を消化してるだけと、旧アニメと比較しても印象に残りにくいとしか思えませんでした。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。