タケ坊 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
圧倒的、この一言に尽きる
Netflixオリジナル作品として、ProductionI.Gが満を持して発表した全12話の本作は、
圧倒的なクオリティを備えつつ全世界の幅広い層が楽しめる内容に仕上がっており、
純粋に娯楽アニメのレベルとしては極めて高いものとなった。
自分はこの作品に5点満点を付ける人がいたとしても、何ら不思議には思わない。
それくらい凄い作品が出てきちゃったな、という印象を持ったと同時に、
以後Netflixが日本のアニメ業界に於いて果たす役割として、
作品作りの方向性、ビジネスモデルを含め大きな変革になる可能性があると感じた。
☆物語☆
ジャンルとしてはサイコ、クライム・サスペンスになるが、
本来交わることのない、ダークヒーロー&異能系バトルアクションという異なるジャンルを組み合わせた脚本が、
ユニークかつ無理なく自然なバランスを保つことに成功している。
これにより、Netflixで普段ドラマや映画を観ている層が見ても楽しめ、
かつアニメ専門のマニアでも楽しめるという、
幅広い層&年代に受け入れられる物語になったと感じるが、
これはかなりの創作能力がなければ出来ないことだろう。
1クール(12話)のオリジナルと言うカテゴリーに於いては、
ここ数年でもトップレベルなのは間違いない。
ネタバレ厳禁につき、あまりアレコレと書かないほうが良いと思う。
天才刑事が点と点を繋ぎ、事件の背後に隠された謎に迫る様は知的かつスタイリッシュで、
文句無しに格好良く、アクション面での見どころも多い。
☆声優☆
一切の妥協を感じさせないキャスティングで、
演技自体も各々素晴らしいものだったが、
とりわけ主演の平田広明氏の円熟の凄み、台詞の説得力には惚れ惚れ。
☆キャラ☆
天才刑事キース&犯人の因縁、歪んだ心理面がとても良く描かれていて引き込まれる。
ただ、同I.G制作の「サイコパス」では、犯人側のキャラや心理にもある種共感できる部分があったり、
魅力を感じる部分もあったのだが、本作ではそのような面は特になく、
コクー&ミナツキ側に関しても、関係性は上手く描かれていたものの、
動機~行動に至る部分ではある意味シンプルだったように思う。
リリィの存在が緊迫感あるサスペンスの中での箸休め的な、コミカルな効果も出していて良かった。
☆作画☆
キャラデザイン、人物の描き方、背景、アクション、CG、全てに於いて高品質で抜かりなし。
ProductionI.Gの本気を感じる作画だが、
いくら予算があったとしても力のない制作会社には、この造形の美しさは出せないだろうと思う。
☆音楽☆
マーティー・フリードマン作曲&Jean-Ken Johnny作詞の主題歌は、
作品を全話視聴した上で作られたとのことだが、
アニメソングを作る上では理想的ではあるものの、これは通常のTVアニメではなかなか出来ないこと。
結果、スタイリッシュ&クールなEDアニメーションとの相性は抜群で、鳥肌が立つほどの格好良さに仕上がった。
また、作中BGMもまるで海外のサスペンスドラマや映画を観ているかと錯覚するレベルの仕上がりで、
メロディのインパクトも充分、文句の付けようがない。
個人的には同I.G制作の「サイコパス」と比べると、
内容の深さという点では及ばないかという印象だが、
作品自体の完成度には何ら不満はなく、多くの人が楽しめる作品としてオススメしたい。
最終話の展開&タイトルからも続編が有ると思われるので、こちらにも大いに期待したいと思う。